白ナンバー車のアルコールチェックが義務化に │ 対象の事業所・義務となる業務を総ざらい
Cariotを活用した車両管理完全ガイド
「車両管理とは」という基礎知識から社用車事故を防ぐ安全運転のポイントまでを解説しています。これから車両管理をはじめる方や、もっと効率的な管理体制を整えたいご担当者におすすめの資料です。
無料でダウンロードこんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。
国内におよそ34万ある白ナンバーの事業者。管理下のドライバーはおよそ782万人にのぼりますが、2022年の改正道交法の施行で、これらのドライバーにもアルコールチェックが義務付けられることをご存知ですか。
違反した場合にはドライバーのみならず、会社や安全運転管理者も責任を問われる恐れがあるため、内容を理解した上で、業務体制を整える必要があります。
今回は、白ナンバー車のアルコールチェック義務化の背景、安全運転管理者が行うべきことなどの詳細と、「Cariot」のアルコールチェック管理を支援する新機能をご紹介します。
1.白ナンバー車のアルコールチェック義務化とは?
白ナンバー車のアルコールチェック義務化とは、白ナンバー車を保有する企業に対してアルコールチェック義務が拡大したことを指します。
これまで、アルコールチェック義務の対象は緑ナンバー車(営業車)だけでした。しかし、道路交通法施行規則の一部改正によって、一定台数以上の白ナンバー車を保有する企業に対しても、アルコール検知器を用いたチェックが義務化されるのです。
飲酒死亡・重傷事故件数は年々減少傾向にありますが、白ナンバー車のアルコールチェック義務化による、飲酒事故のさらなる減少が望まれます。(「飲酒死亡・重傷事故件数の推移」をご覧になりたい方は安全運転管理者によるアルコールチェック・記録が義務化へ〜法改正の内容と管理業務効率化のポイント〜をチェックしてください)
(参考サイト:警察庁:安全運転管理者の業務拡充)
1-1.義務化となった背景
白ナンバー車のアルコールチェックが義務化された背景には、2021年に発生した飲酒運転事故があります。これは2021年6月28日、千葉県八街市で飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に衝突し、小学生5人が死傷した事故です。
事故を起こした大型トラックは自社荷物を運搬する白ナンバーで、運転前のアルコールチェックは義務ではありませんでした。白ナンバー車のアルコールチェックは、このような悲劇を繰り返さないために義務化されました。
2.義務化する業務内容と対象となる事業所・車両
白ナンバー車のアルコールチェック義務化では、具体的にどのような業務が、安全運転管理者に対して義務付けられるのでしょうか。そして、どのような事業所・車両が対象となるのでしょうか。次項から、それぞれのポイントについてチェックしていきましょう。
2-1.義務化する業務内容
白ナンバー車のアルコールチェック義務化は、2022年4月と10月の2回にわけて順次施行されます。それぞれの段階で義務付けられる内容が異なるため、安全運転管理者はしっかりと理解し、実行する必要があります。
2-2.2022年(令和4年)4月1日から義務付けられること
白ナンバー車のアルコールチェック義務化の第1段階は、2022年(令和4年)4月1日に施行されました。この日時より、安全運転管理者には以下2点が義務付けられます。
運転者の、運転前後の状態を目視などで確認します。
なお、この時点では、アルコール検知器の使用はまだ義務付けられていません。
2.記録の保存
酒気帯びの有無について、1年間記録を保存します。
2-3.2022年(令和4年)10月1日から義務付けられること
白ナンバー車のアルコールチェック義務化の第2段階は、2022年(令和4年)10月1日から施行されます。この日時より、安全運転管理者には以下2点が義務付けられます。
運転者に対して、アルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認が義務付けられます。
なお、酒気帯びの有無についての記録は、1年間保存します。
2.アルコール検知器の保持
常時有効に機能するアルコール検知器を保持することが求められます。
2-4.対象となる事業所・車両
白ナンバー車のアルコールチェック義務化は「安全運転管理者認定事務所」が対象です。具体的には、「定員11人以上の車を1台以上」または「その他の車を5台以上保有する事業所」の全てが対象となります。
画像引用元:警察庁「事業所の飲酒運転根絶強化!令和4年4月より改正道路交通法施行規則が順次施行されます」
注意したいポイントは、白ナンバー車のみならず、軽自動車(黄色ナンバー)や自動二輪車(原動機付自転車は対象外)も、台数にカウントされる点です。
例えば、白ナンバー車を3台、軽自動車(黄色ナンバー)を2台保有する事業所は、計5台とカウントされ、アルコールチェックが義務付けられます。
また、自動二輪車は「0.5台」として計算します。自動車を1台も保有しない事業所でも、10台の自動二輪車を保有していれば、自動車5台分とカウントされ、アルコールチェックが義務付けられます。
3.安全運転管理者が行うべきこと
安全運転管理者とは、事務所において安全運転に必要な業務を管理・実行する立場です。白ナンバー車のアルコールチェック義務化の施行に伴い、新たに設けられた業務内容をしっかりと理解しておきましょう。
(安全運転管理者の講習や制度についての詳しい解説は【2022年最新版!】安全運転管理者等法定講習とは | 制度や申請手続きについて解説をご覧ください)
3-1.目視とアルコール検知器によるアルコールチェック
安全運転管理者は、2022年4月以降は目視で、2022年10月以降はアルコール検知器を使用し、ドライバーの酒気帯びの有無を確認しなければなりません。
目視での確認とは、運転者の息のにおいや、顔色、応対する声の様子などによる確認を指します。カメラやモニターなど、オンラインによる確認は禁止されていませんが、対面による確認が原則と考えられます。
また、使用するアルコール検知器に使用機器の指定はありませんが、酒気帯びの有無や濃度を、警告音・警告灯・数値などで確認できる機能を備えていることが条件となっており、特別に高性能な機器が必要なわけではありません。
3-2.アルコール測定内容の記録保存
安全運転管理者は、アルコール検知器の測定内容を記録し、1年間保存しなければなりません。記録すべき項目は、以下のとおりです。
- 確認者名
- 運転者名
- 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号、または識別できる記号・番号等
- 確認の日時
- 確認の方法(アルコール検知器の使用の有無/対面でない場合は具体的な方法)
- 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他の必要な事項
具体的な記録の記載方法については、全日本トラック協会標準帳簿「点呼記録簿」が参考となるため、チェックしておくとよいでしょう。
なお、記録形式には指定がないため、書類、電子データのどちらでも問題ありません。
3-3.常時正常に機能するアルコール検知器を保持
2022年10月に施行される法令に記された「常時正常に機能するアルコール検知器」とは、故障や異常がなく正確にアルコールチェックできる状態のアルコール検知器を指します。
「常に正常に機能するアルコール検知器」を保持するためには、正しい方法で適切に使用することはもちろんのこと、機器の管理にも注意が求められます。また、故障や異常の定期的なチェックや、メンテナンスも必要です。
4.Cariotの「アルコールチェック結果管理機能」を活用しよう
白ナンバー車のアルコールチェック義務化においては、アルコールチェック結果の記録と1年間の保存が義務付けられます。
これを受け、モビリティ業務最適化クラウド「Cariot」は、白ナンバー車のアルコールチェック義務化に向けた以下のアップデートを実施しました。
- 「アルコールチェック結果管理」機能
- 「アルコール検知器メンテナンス管理」機能
- 「アルコール検知器との連携を含むリモート点呼サービスとの連携」機能(開発検討中)
Cariotをお使いの方は、面倒な機器の追加等は不要なため、すぐに利用できます。
4-1.「アルコールチェック結果管理」機能
アルコールチェックの結果を入力することで、クラウド上で1年間保存できる機能です。
ドライバー名やチェック日でデータを絞り込めるため、検索性にも優れ、データの確認や書類作成が効率化できます。
4-2.「アルコール検知器メンテナンス管理」機能
使用中のアルコール検知器を登録することで、メンテナンス管理ができる機能です。
白ナンバー車のアルコールチェック義務化においては「常時正常に機能するアルコール検知器の保持」が義務付けられており、定期的なメンテナンスや動作確認は必須業務となります。
本機能では、週次・年次のメンテナンス状況が管理できるほか、アラート機能によって、メンテナンスのし忘れを防ぐことができます。
4-3.「アルコール検知器との連携を含むリモート点呼サービスとの連携」機能(開発検討中)
アルコール検知機能との連携で、オンライン(リモート)での点呼が可能となる機能です。
遠隔型・対面拠点型の両方に対応しつつ、クラウド上で情報の確認や管理が可能となります。
本機能は2022年10月の施行に向けて開発検討中です。予定は変更されることがあります。あらかじめご了承ください。
5.【FAQ】施行される法令についてのよくある質問
最後に、今回の法令施行に関するよくある質問についてチェックしましょう。
5-1.違反した場合の罰則は?
白ナンバー車のアルコールチェック義務を怠った場合、安全運転管理者は法令違反となります。しかし、アルコールチェック義務を怠り、飲酒運転が発生した場合は、単なる業務違反では済みません。安全運転管理者のみならず、会社の代表(使用者)も刑事罰に問われる可能性があります。
5-2.飲酒事故が起きた際の使用者への罰則
会社の代表(使用者)個人へ罰金が科される可能性があります。ドライバーに飲酒運転の恐れがある状況で社用車を使わせたと判断された場合、道路交通法(道交法)違反に処され刑事責任が発生することも考えられます。
また、会社に車両の使用制限が科されると、業務に支障をきたしたり、相手方への損害賠償責任が発生したりする可能性が考えられます。
5-3.飲酒事故が起きた際の安全運転管理者の罰則
安全運転管理者は、その名が示すとおり「事業所における安全運転の管理・責任者」のポジションです。その管理を怠ったために発生した飲酒事故の場合、やはり、道路交通法違反に問われ刑事責任が発生する可能性があります。
5-4.目視・アルコール検知器の不使用・確認の未実施に対する罰則
目視・アルコール検知器の不使用により、ドライバーの飲酒の有無の確認が実施されなかったことに対する罰則については現在、定められていません。 しかし今後、罰則が制定される可能性があります。
現在は罰則は定められていませんが、目視・アルコール検知器の不使用や、確認の未実施は法令義務違反であり、企業の社会的信用を大きく損なうことにつながります。安全運転管理者は、目視・アルコール検知器による確認を怠らずに実施しましょう。
5-5.安全運転管理者が不在の場合は?
安全運転管理者が不在の場合など、目視・アルコール検知器での確認が困難な際は、他の社員が確認を代行することが可能です。
具体的には、副安全運転管理者、安全運転管理者の業務をサポートする立場の者など、道交法で定める「車両等の運行を直接管理する地位にある者」に代行させるとよいでしょう。
5-6.直行直帰の場合もアルコールチェックは必要?
ドライバーが直行直帰をする場合は、自宅から直接目的地に向かい、業務の後は会社には戻らず帰宅します。白ナンバー車のアルコールチェック義務の対象事業所(安全運転管理者選任事業所)に該当する事業所は、直行直帰の場合もアルコールチェックを実施する必要があります。
ドライバーが直行直帰をするケースでは、アルコールチェックの方法などについて、まだ詳細な規定がありません。そのため、スマートフォンによるテレビカメラなどで目視を行い、運転者の持つ携帯型アルコール検知器の測定結果を報告する方法などが考えられます。
いずれにせよ、直行直帰のケースにおける細則が将来的に作成される可能性もあるため、安全運転管理者は今後の動向を注視しておきましょう。
5-7.レンタカー使用の際もアルコールチェックは必要?
社員がレンタカーをプライベートで借りて使用する場合は、安全運転管理者の管轄範囲外となるため、アルコールチェック義務の対象とはなりません。
ただし、レンタカーを使用した社員が飲酒運転を起こした場合、企業の社会的信頼を損なう恐れがあるため、運転前後にアルコールチェックしておくことが望ましいといえるでしょう。
また、安全運転管理者認定事務所の社員がリース車両を業務で使用する場合、あるいは業務でレンタカーを借りて使用する場合は、運転前後にアルコールチェックが必要となります。
5-8.アルコール検知器の購入費などに使える補助金・助成金はある?
現在のところ、白ナンバー車のアルコールチェック義務化に伴う補助金・助成金制度はありません。
しかし、かつて緑ナンバーのアルコールチェックが義務化された際に、助成金制度が設けられたため、今後も設けられる可能性も考えられます。
6.まとめ
2022年の道路交通法施行規則の一部改正により、白ナンバー車のドライバーに対する「アルコール検知器を用いたチェック」が義務化され、多くの企業では安全管理体制の見直しを迫られることになりました。車両を使い業務を行う企業・事業所においては、早めに準備や対策を進めることが得策です。
なお、アルコールチェックの記録は、書類(紙)でも可能です。しかし、保管・管理コスト、検索性、紛失リスクなどを考えると、電子データでの保存が便利で安全といえるでしょう。
導入費用0円から始められるモビリティ業務最適化クラウドCariotでは、2021年3月7日に「アルコールチェック結果管理、」「アルコール検知器メンテナンス管理」の両機能に対応し、これらのデータをクラウド上で安全に一元管理できるようになりました。
Cariotは、動態管理システムとしても、利用者からの評価と信頼性が高いシステムです(※)。業務効率化・自動化、安全運転のサポートなど、さまざまな課題への対応が可能です。ぜひ導入をご検討ください。
(※:2020年に「業務効率化に効果的な動態管理システム」、「経営者が選ぶ動態管理システム」、「使いやすさ満足度動態管理システム」、「サポート満足度が高い動態管理システム」で4冠を達成。日本マーケティングリサーチ機構調査)
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