【Cariot 専門家コラム】テレマティクスを支えるGPSの仕組み

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CUNEMOの森です。
今回は、車両運行管理サービスのCariotでも活用している、皆さんおなじみのGPSについて解説をいたします。

【昭和の時代には無かったGPS】
今やカーナビや緯度経度と“同義語”として、小学生でも知っている「GPS」ですが、実は世の中に出てきたのは1989年、つまり昭和の時代には存在しない仕組みでした。

【元々は軍事目的】
GPSは衛星を使用した位置測定システムで、Global Positioning System(日本語で「全地球測位システム」)の略語です。元々は米ソ冷戦の時代に、軍用機、艦船、ミサイルなどの自己位置をリアルタイムで知ることができる軍事目的の仕組みとして、アメリカ合衆国によって考案されました。

【道は星に聞け】
日本では、1990年にパイオニアが世界で初めてGPSを使ったカーナビ「AVIC-1」を発売し、その広告に掲載されていた「道は星に聞け」というコピーが、私には大変衝撃的でした。パイオニアのこの製品がきっかけとなり、その後、日本は、カーナビなどの非軍事目的としてGPSを活用することが大変盛んになりました。

世界初の市販GPSナビ カロッツェリア AVIC-1 (出典:カーナビニュース・ドットコム)

世界初の市販GPSナビ カロッツェリア AVIC-1
(出典:カーナビニュース・ドットコム)

【GPS衛星は“放送”しているだけ】
GPS衛星とGPS受信機とは“交信”はしていません。GPS衛星は、原子時計による正確な時刻と、それぞれの軌道情報を延々と放送(送信)しているだけです。GPS受信機側は、衛星の時刻と軌道情報を元に自分の位置を計算します。

【どうして自分の位置がわかるのか】
GPS衛星は1個だけでは無く、仕様としては24個、現在はもう少し増えて30個以上が高さ約2万キロの上空を日夜回っています。地表から衛星までは距離があるため、受信した地点にその信号が到着するまでにわずかな遅れが生じます。その時間差と電波の速度(=光速)の関係からGPS衛星との距離が算出できます。同時に複数(最低でも3個)の衛星の信号を受信することで、GPS受信機は自分の位置を算出します。信号を受信できる衛星の数が多いほど、位置の精度は高まり、最も良い状態で誤差は10メートル程度になります。一方、衛星が十分に見えない環境、例えばビル影や高架下では精度が下がり、屋内では位置が測定できません。なお、スマートフォンで屋内や地下街にいても位置がわかりますが、これには携帯電話基地局やWifi基地局情報などの別の方法が使われています。

GPS衛星の軌道アニメーション (出典:Wikipedia)

GPS衛星の軌道アニメーション
(出典:Wikipedia)

【GPS受信機は著しく進化した】
90年代半ばまで、GPS受信機は大福餅くらいの大きさでした。遠方の人工衛星の微弱な電波を受信するために、利得の高いアンテナと低ノイズの信号増幅器が必要だったからです。カーナビの製品開発競争の中で、徐々に小型化、高性能化されていきます。そして、携帯端末への搭載を容易とするために、低消費電流化も図られ、今ではスマートフォンはもちろん、腕時計までにGPS受信機が搭載される時代になっています。そして、GPS受信機だけの発展に加え、クルマであれば車速パルスやジャイロ、携帯電話であれば基地局情報などの補完手段により、素早く正確な位置情報が得られるようになっています。

【無くてはならないインフラ】
私たちは、「位置情報を知る」ことは「時刻を知る」と同じくらいのあたりまえなことになりました。それを実現したのがGPSです。かつての冷戦時代、軍事用として、航空機や船舶で使われ始めたGPS。今や、世界何十億人が使う、無くてはならないインフラとなりました。

 
※本記事の情報、及び画像は、記事作成時点のものです。詳しくは最新の情報をご確認ください。

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