深刻なドライバー不足対策としての物流規制改革

管理業務のデジタル化で実現する効率的な労務管理とドライバーの労働環境の改善

「働き方改革関連法」による2024年度からドライバーの時間外労働の上限規制をはじめ、ドライバーの長時間労働改善への取り組みは急務となっています。
動態管理システムを活用した労務管理と業務効率化のポイントを解説します。

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こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。

物流を担うドライバー不足が深刻さを増すなか、これまでも物流を維持・持続させるためのさまざまな施策が打ち出されてきましたが、「物流クライシス」と呼ばれる状況は現在も続いています。
今回は、経済同友会が20年6月10日に発表した提言「物流クライシスからの脱却〜持続可能な物流の実現」についての解説と合わせて、物流業界の課題解決に活用できるCariotの機能についてまとめました。

【目次】
1.経済同友会が提言する「物流クライシスからの脱却〜持続可能な物流の実現」
 1-1.物流改革のための4つの具体的な提言
 1-2.「既存の営業用トラックの生産性向上」のために必要なこと
 1-3.「自家用トラックの活用」で配送量増加に対応
2.規制緩和でコロナの影響による物流増に対応
3.物流規制改革が進む今、Cariotにできること
 

1.経済同友会が提言する「物流クライシスからの脱却〜持続可能な物流の実現」

1-1.物流改革のための4つの具体的な提言

今回、経済同友会が発表した提言内容は、物流を「国家戦略」として捉え、現場で起きている喫緊の課題を解決するための具体策として、下記の図にある4項目を挙げています。
提言

  1. 既存の営業用トラックの生産性向上
  2. 自家用トラックの活用に係る規制改革
  3. 大型自動車免許を有する女性と外国人ドライバーの活用
  4. 国家戦略としての機関設立・人材育成(物流デジタル化・標準化団体、デジタル物流人材)


画像:経済同友会「物流クライシスからの脱却〜持続可能な物流の実現〜

特徴としては、すべての項目に業務効率化のための「デジタル化」が盛り込まれていることが挙げられます。
 

1-2.「既存の営業用トラックの生産性向上」のために必要なこと

慢性的なドライバー不足が続く中、輸配送の現場ではECコマースなどの影響で配送は小口多頻度化傾向にあり、現場の効率性低下・業務負担の増加の原因となっています。
同会は、具体的な取り組み内容として下記の内容を挙げています。
 
(1)共同配送実現のためハードとソフトを標準化する

  • ハード面
  • 荷主や顧客ごとにバラつきのあるパレットやダンボールの規格を統一して共同配送をしやすくすることで、積載率を向上させる

  • ソフト面
    共同配送推進のためには、基準尺度の設定、測定による可視化などを行うことが必要。デジタルを活用し「標準的な混載 品質基準」を策定する必要がある

 
(2)翌々日納品・検品レスを標準的な商慣行にする

  • ドライバーの長時間の待機、過度な附帯作業などの原因となる「翌日納品」や「納品時の都度検品」といった商慣行の改善
  • 「翌々日納品」、「検品レス」が取引における標準的なサービスレベルとなるように、商慣行を改めるべき

 
(3)共同配送や翌々日納品・検品レスを実現するためデジタル化の更なる推進と データの仕様を標準化する

  • 混載を実現するための荷種・荷量・積載状況、運行ルート・通過時間などのデータを標準化し、 荷主・トラック運送事業者の双方が人力によらず調整できるようにする必要がある
  • 「サプライチェーン 全体の物流・商流情報」について、仕様を標準化する必要がある
  • 納品時に行う検品作業において、各業界、各社ごとに付与されている独自のコードの「受発注・ 出荷データ」について、仕様を標準化する必要がある

 
同会がどのような理由でこれらの課題を挙げたかを示す、具体的な数字を見てみましょう。
国土交通省が2018年10月に公表した資料によると、貨物1件あたりの貨物量は減少傾向にあるものの物流件数は増加していること、営業用トラックの積載率を見ると2016年度で約40%と低下傾向にあることがわかります。


画像:国土交通省「物流を取り巻く現状について


画像:国土交通省「物流を取り巻く現状について

上記から、貨物量や仕様の標準化による積載率の向上、規格の統一・デジタル化を行うことで事業者間の連携を強化しながら業務を円滑に進めるなど、生産性の向上が急務です。
今後、これまで以上に荷主と物流事業者が協力して業務効率化に取り組むことが求められます。

 

1-3.「自家用トラックの活用」で配送量増加に対応

業種によっては、繁忙期は営業用トラックだけでは十分な輸配送ができないケースもあることから、同会は規制緩和によって自家用トラックの余裕時間を有効活用しながら稼働するための環境整備についても言及しています。


画像:全日本トラック協会「営業用トラックとは

しかし、現在の道路輸送法では、自家用トラックが有償で荷物を輸送することは原則禁止されています。また、営業用トラックはさまざまな法令に則り安全対策を講じて業務を行ないますが、自家用トラックはそれらの対象外であること、運賃の値下げ競争に拍車がかかる恐れもあることから、提言では自家用トラックの利用について「一定の条件を設けること」を盛り込んでいます。

(1)安全の担保・法令順守に係わる条件の統一、安全面や品質面を置き去りにした過度な運賃の値下げに関する懸念を払拭する

  • 公平性の観点から有償運送による輸送量が本業の輸送量を超過しない場合
  • 安全性の観点から実運送事業者の管理下において自家用トラックを活用する場合
  • 重大な事故の発生可能性が予見された場合・発生した場合は、国交省が監査を行う
  • 上記のような条件を定めた上で、自家用トラックの有償運送を認めるべき

(2)デジタルを活用した有償運送許可申請、安全管理を行う

  • 柔軟な対応をするために、スマートフォンやパソコンなどを活用し、空き時間などをタイムリーに選択、申請できるようにするべき
  • 上記の内容について、安全面や働き方の健全さを確認する仕組みを導入する。また、その仕組みを各物流事業者が単独で構築するのではなく、ひとつの「標準的なアプリケーション」を構築するべき

過度な価格競争を抑制し、安全対策に万全を期した対策が望まれます。

 

2.規制緩和でコロナの影響による物流増に対応

2020年上半期は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言があり、リモートワークの実施や「巣ごもり需要」による宅配の利用件数が増加しました。
国交省が20年6月26日に発表した資料によると、同年4月の再配達率は8.2%と大幅に低下したものの配送総数は大幅に増加し、配送を行うドライバーの業務負担がさらに増えたことがわかります。


画像:国土交通省「宅配便の再配達率は8.5%と大幅に低下~令和2年4月の調査結果を公表~

急激に需要が拡大すると、現在稼働している営業用トラックだけでは対応しきれない恐れがあります。そのため、同省は同年6月6日、レンタカーによる宅配の取り扱いについて各地方運輸局などに向け事務連絡を発出しました。
以下、埼玉県トラック協会のHPに掲載されている国交省からの通知文から内容を抜粋します。

<レンタカーで宅配を行う場合の条件>

  • 貨物自動車運送事業者は、営業所から近距離の限られた区間に限りレンタカーの使用を認める
  • これまで引越し業者が繁忙期にレンタカーを利用できる仕組みに準じており、2020年8月末までの期間限定
  • レンタカーを借りる期間は14日を超えないこと
  • 事前の届出が必要。届出の際、車庫・ドライバーの確保・損害保険契約がされているかの確認がある
  • 期間中に複数回の届け出を行う場合、ひとつの事前届出書でまとめて届けることが可能
  • 車両の保有台数が5台未満の営業所ではレンタカーでの宅配は認めない

※これらの届け出を行う場合は、事前に各都道府県の運輸局・業界団体に連絡をし、詳細をご確認ください。

 

3.物流規制改革が進む今、Cariotにできること

モビリティ最適化クラウドCariotは、輸配送業務を行う皆さまの課題やお悩みを解決するさまざまな機能をご用意しています。

■輸配送効率化に役立つ機能
Cariotの活用により、リアルタイムで走行情報や車両位置情報を取得・集約できるようになることで、物流業務の効率化を実現します。

<分析マップ(走行ルートの重ね合わせ)機能>
事前に車両等の登録をしなくても、複数の車両の走行利敵を地図上で比較できる機能です。無駄な走行・ドライバーの活動エリアの重複の発見に役立ちます。

<ルート最適化機能>
AIを活用したラストワンマイルの走行ルートを短時間で計算するクラウドサービスと連携し、実際の走行ルートに対して何分の改善余地があるかを可視化します。

<配送計画機能>
「どの順番で、いつまでに目的地へ到着するべきか」という「配送計画」が、Cariot上で作成することができます。作成した配送計画に沿って「どこまで配送したか」「遅延が発生していないか」などの状況をリアルタイムで把握できます。

<エリアマップ(車両の現在位置の把握)>
リアルタイムで更新される位置情報から「車両が今、どこにいるのか」が分かるため、効率の良い動態管理が実現します。

<DriveCast(関係者への位置情報共有)>
配送先や取引先など、社外の関係者と車両の位置情報を共有できる機能です。スマートフォンやタブレットの画面からも情報が確認できます。車両の到着予測時間も確認できるため、配送先からの問い合わせ対応の負担が軽減されます。

<走行ステータス(ドライバーの今の状況を把握)>
ドライバーが「今、何をしているのか」を把握できる機能です。ドライバー側から、休憩・実車・空車・待機等のステータスを入力することで、管理者は業務中の状況をより正確に把握できます。また、ステータスごとに実績を残すことができるため、実車率や待機時間を計測し、業務効率化のために活用できます。
※本機能はCariotモバイルアプリ限定機能です

この機会に、お客様が抱える課題を解決に導くモビリティ最適化クラウドCariotの導入をご検討ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもCariotは、輸配送をはじめとしたモビリティ業務の最適化につながる機能の開発を進めてまいります。

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