立ち往生が発生!安全な輸送を実現するための対策とは〜異常気象時の輸送には荷主・輸配送事業者の協力が必要な理由〜

Cariotで実現する遅延対策と位置情報の共有

自然災害など緊急事態において、配送スタッフの安全確保と物流網の速やかな復旧を行うには、車両の位置情報の把握が重要になります。平時から緊急事態に備える上で考慮すべきポイントについてご紹介します。

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こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。

近年、大雪による大渋滞や車両の立ち往生が発生したというニュースが増えたと感じている方も多いのではないでしょうか。
物流に携わる企業・事業所においては、気象情報を入手するなど事前の備えを行なっていても、天候の急激な悪化により立ち往生等に巻き込まれてしまうこともあります。

今回は、大雪による大規模な立ち往生解消のために発出された新たな施策と、異常気象時に物流企業・事業所が行うべき対策や荷主側の配慮義務などについてお伝えします。

 

1.大雪による大規模な立ち往生解消の新たな施策

1-1.タイヤの溝もチェックが必要。悪質な場合は行政処分も?

2020年12月〜2021年1月にかけて日本海側で大雪となり、北陸道で大規模な立ち往生が発生したことで輸送が滞り、スーパーやコンビニエンスストアでは商品が搬入されない状況に陥ったことが報道されました。また、除雪の遅れなどにより、ドライバーはその場で数日間を過ごし、県からの要請を受けた事業者が水や食料、毛布などの支援物資を緊急輸送する事態となりました。

この大雪では、気象庁が警戒を呼びかけました。また、事前に交通障害も予想されたことから、国土交通省自動車局安全政策課は2020年12月29日、トラック及びバスの事業者団体に対し、冬用タイヤの装着・摩耗劣化の状況確認、チェーンの携行や早めの装着など、輸送の安全に万全を期すよう通達を発出しました。
同通達では、「異常気象時等に輸送の安全のために必要な措置を講じなかったことが明らかになった場合は指導を行うことと同時に、滞留の原因となった車両が冬タイヤ未装着など悪質なケースには監査を実施し、安全管理義務違反として行政処分を行う」としています。
しかし、関連省庁が事前に注意喚起をしたにも関わらず、再び大規模な立ち往生が発生しました。この件に関し、国土交通大臣は定例会見で、下記の点について言及しました。

  • 高速道路を通行止めにするタイミングが遅れたこと
  • 車両の滞留状況に関する情報把握が不十分だったこと
  • 立ち往生の原因が大型トラックであること
  • 今後、トラック事業者への指導強化・荷主を含む実効性のある対策を講じる必要性があること

対策を講じていても毎シーズン、大雪による物流網の混乱が発生することがあるため、国土交通省は2021年1月26日、「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈および運用」を一部改正し、バス・トラック運送事業者に対し冬タイヤの安全確認を義務付けルール化した上で、同日施行しました。

今後、整備管理者・運行管理者が行う確認事項は下記のとおりです。

  • 整備管理者:冬用タイヤの溝の深さが、タイヤ製作者が推奨する使用限度(新品時の50%)よりすり減っていないことを確認しなければならない。
  • 運行管理者:雪道を走行する自動車は、点呼の際にタイヤの溝の深さを確認しなければならない。

※詳細は国土交通省HPでご確認ください。

画像:国土交通省「冬用タイヤの安全性を確認することをルール化しました〜雪道では、使用限度を超えた冬用タイヤの使用は厳禁です〜

これらに加え、天候が急激に悪化することが予想される場合は、事前に気象情報を確認し無理な運行をしないことはもちろんのこと、チェーンなどの用意やスタックした際に必要な道具、車内泊を想定し水・食料・毛布等の準備をすると同時に、事前に迂回ルートを含めたルート設計をするなど、ドライバーの安全を確保することが大切です。

※雪道運転の注意点や罰則規定、走行する際の準備や車体のチェック項目等については、過去のCariotブログでもお伝えしていますのでご覧ください。ただし、罰則等は変更される可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。

1-2.異常気象時に安全を確保するための「目安」とは

安全な輸送の実現に向けさまざまな措置が講じられています。しかし、事前の気象情報などからドライバーの安全を確保できないと判断した場合でも、事業者が単独で配送や運行の中止を判断することは難しく、無理な運行をすることで立ち往生に巻き込まれることもあり、輸送が遅延すれば荷主側が損害を受ける可能性もあります。

トラック運送事業においては「貨物自動車運送事業輸送安全規則第11条」で、「(異常気象時等における措置)第11条貨物自動車運送事業者は、異常気象その他の理由により輸送の安全の確保に支障を生ずるおそれがあるときは、乗務員に対する適切な指示その他輸送の安全を確保するために必要な措置を講じなければならない。」 と定められています。しかし、どの程度の降雨量・暴風・降雪などが発生した場合に運行を中止するかについて、明確かつ具体的な判断材料はこれまで存在しませんでした。そのため、その判断は物流各社・事業所に任せられていました。
その結果、荒天時に安全確保が難しい場合であっても、荷主側からの依頼を受けた際は輸配送を行わなければならず、その結果、ドライバーの安全が確保できていませんでした。
これらの状況を改善するため、事業者側から国土交通省に対し、運行を中止するための判断基準を定めるよう要望が出ていました。
それらを元に、国土交通省は2020年2月28日、車両の円滑な運行を行うための措置として「異常気象時における措置の目安」を施行しました。

「異常気象時における措置の目安」については、過去のCariotブログでもお伝えしましたが、暴風雨などで安全な輸配送が困難な状況であることが明らかな場合であっても、荷主が輸送を依頼・強要したことでトラックの横転事故が発生した事例があることから、輸配送事業者の安全と円滑な物流を維持するためのガイドラインとして設置されたものです。

天候の急激な悪化が予想され、国土交通省の「異常気象時における措置の目安」を元に輸配送事業者が輸配送を中止する際は、下記に留意してください。

  • 輸配送事業者は、直ちに荷主等の関係者へ報告すること
  • 安全な輸送ができない状況下で荷主に輸送を強要された場合は、国土交通省のHPに設置されている「意見募集窓口」や、最寄りの運輸局、運輸支局等に通報すること
  • 国土交通省がそれらの通報を元に監査を行い、場合によっては行政処分が行われること

※情報提供や意見窓口については、過去のCariotブログにも掲載しています。こちらもぜひご覧ください。

国土交通省は輸配送事業者側に対し、大雪注意報が発表された場合などは「異常気象時における措置の目安」に基づき、「輸送の安全を確保するための措置を講じるべき」としています。安全確保が困難な状況下で輸送中止しない場合、直ちに行政処分が科されるわけではありませんが、冬タイヤ・チェーンの未装着など適切な安全対策を講じなかったと認められた場合は「貨物自動車運送事業輸送安全規則第11条」と「貨物自動車運送事業者に対する行政処分の基準」に基づき、行政処分として初回は警告処分、2回目以降は10日車の車両停止処分が科されます。
行政処分を受けた場合は一定期間、車両を動かすことができないため、自社の利益を損なうだけでなく物流の安定的な維持にも影響を及ぼしかねません。
異常気象時には無理な輸送を行わないことが最善ですが、輸送をしなければならない場合には事前に万全の準備をし、業務を行ってください。

荷主側の留意点としては、貨物自動車運送事業法附則1条の2の規定により、荷主が輸配送事業者に対し、異常気象時に安全確保が困難な状況で輸送を強要したと判断された場合、行政処分の対象になり得ることがあります。

画像:全日本トラック協会「異常気象時における措置の目安リーフレット

ドライバーと輸送の安全を確保するためには、荷主側の配慮・協力・調整も欠かせません。
不測の事態を想定し、平時のうちから荷主側・輸配送事業者側の双方が歩み寄り協力体制を構築することが、結果的に円滑な物流の実現につながるのではないでしょうか。

 

2.安全な輸送に欠かせない「荷主側の配慮」

第1項で、大雪等の異常気象時に安全確保を怠り運行した事業者は行政処分の対象となること、荷主側にも運行への配慮が求められていることをお伝えしましたが、「荷主側の配慮義務」は、2019年7月1日に施行された「改正貨物自動車運送事業法」において規定されています。

同法には、事業者の安全運行を実現・維持するため、荷主や配送先側の都合による長時間の荷待ち時間を是正することを目的に「荷主側の配慮義務」、「荷主への勧告制度」などが盛り込まれています。
具体的には、輸送の強要や事業者への違反原因行為が明らかになった荷主に対しては荷主勧告制度に基づく「要請」、「荷主勧告」、「荷主名公表」などの対象となる他、違反行為の疑いがある荷主に対し国土交通大臣が「働きかけ」(2023年度末までの時限措置)を行うとしています。
また、悪天候時の安全な輸送を妨げる行為をした荷主にも一定の責任が生じることが明記されていますので、安全確保が困難な状況下における無理な輸送依頼には注意が必要です。

荷主側・輸配送事業者側の双方が、事前に気象情報で警報が出されたり、関連省庁からの通達が発出されたりした際に無理な輸送は行わないよう、平時のうちから取り決めをしておくことが大切です。その際、事後のトラブルを回避・防止するため、書面や契約書等を取り交わしておくと安心です。

画像:国土交通省「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(議員立法)の概要

このように、ドライバーと輸送の安全確保を実現するためには、荷主と輸配送事業者の双方の協力は必要不可欠です。
しかし、荷主が全てのトラックの配送ルートや到着時間、天気の急変など現場の状況を正確に把握することは難しいことも事実です。

上記の問題を解決するために、荷主側・輸配送事業者側の双方にとってメリットがある「動態管理システム」の導入は有効な手段のひとつです。

「動態管理システム」を導入し、パソコンやスマートフォン、タブレットなどで荷物の到着予想時間を確認することができれば、無駄な時間を発生させずに受け入れ準備や出荷準備を行うことができます。
また、輸配送事業者が管理をデジタル化することで、社内外の関係者へ状況の確認をする際に、電話をかけなくともドライバーの今の状況や現在地を正確に把握することができ、急な天候の悪化・ルート変更などのアクシデントが発生した際にも素早い対応を取ることが可能です。
この他にも、ドライバーは運転を中断して電話対応などをする必要がなくなるため、安心して運転に専念できる環境が整います(システムによって、機能は異なりますのでご注意ください)。

Cariotでは、車両位置情報の把握と共有による、輸送遅延対策の実例をご紹介している資料をご用意しています。こちらもぜひ、ご覧ください。

 

3.スピーディーな対応のカギは「正確な状況把握」

異常気象時に備えた事前の取り組みへの重要度が増す中、「動態管理システム」を導入することで、日頃から現場の状況と動きをリアルタイムで正確に把握・確認し、アクシデントが発生した際にはスムーズな対応をとることができる体制づくりを進めておくことが重要です。

Cariotでは、システム導入後、弊社カスタマーサクセスチームがご不明点や疑問点、改善したいことなどをサポートさせていただきます。
過去のCariotブログでは弊社カスタマーサクセスチームを紹介しています。こちらもぜひ、ご覧ください。

導入してからがCariotのスタート!成果に向けて伴走するカスタマーサクセスチームの役割とは

Cariotを活用して顧客の事業を成功に導く!〜課題解決の道筋を示すカスタマーサクセスチームの取り組み〜

ここからは、異常気象時にも役立つCariotの機能の一部をご紹介します。

■DriveCast
同機能で発行されるURLを、荷主・輸配送事業者の双方へ共有できます。URLにアクセスすることで、ドライバーと「今、どこを走っていますか」と電話でのやり取りをしなくとも、走行中の車両の現在位置・到着予定時間を把握することができます。

■メッセージ機能(Cariotモバイルアプリ限定機能)
管理者とドライバー間でメッセージのやり取りができるため、ドライバーは運転中に電話をかけるために停車せず、運転に集中できる環境が整います(Cariotには「ながら運転防止機能」がありますので、走行中のアプリ操作はできません)。

■乗車前点検機能(Cariotモバイルアプリ限定機能)
業務開始前、お手持ちのスマートフォンやタブレットに表示される確認項目にチェックを入れることで、点検の有無・項目の情報を自動で収集します。紙に記入し、提出・収集する作業負担を軽減でき、何より日々の車両の状態を点検することが、大きな事故を未然に防ぐことにもつながるでしょう。

 
 
※本記事の情報、及び画像は、記事作成時点のものです。詳しくは最新の情報をご確認ください。

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