共同配送・貨客混載の活用によるメリットと課題を解説

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こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。

持続可能な物流の維持とさらなる効率化に向けた「物流総合効率化法」では「共同配送」の取り組みに対し、必要経費の補助や税制特別措置などの支援策が実施されていることもあり、民間企業においてそれらの活用が広がっています。
また、過疎地域の物流を維持する手法として「貨客混載」も実施されるなど、物流を途絶させないための施策が実施されています。

今回は、深刻化するドライバー不足解消・労働環境改善など物流の課題を解決に導く「共同配送」、「貨客混載」の現状とメリット、解決すべき課題についてお伝えします。

 

1.共同配送とは

1-1.共同配送のメリット

新型コロナウイルス感染症は収束の見通しが立たず、社会全体が大きく変化を続けており、物流業界はさまざまな対応に追われています。加えて、従来からの課題を解消するための業務効率化・生産性向上は喫緊の課題です。

このような状況の中、複数の課題を解決しながら円滑な物流を維持するための方法として「共同配送」や「貨客混載」が注目されています。

過去のCariotブログでもお伝えしましたが、「共同配送」とは、複数の企業が配送業務を共同で行うことを指します。
また、荷主や輸配送業者が互いに共同して荷物の集荷・配送を行う場合も「共同配送」です。

国土交通省は現在、流通・物流を維持しながら労働力確保・環境負荷低減を実現するため「物流総合効率化法」を施行し、「共同配送」を行う企業・事業に対する支援を行っています。

画像:国土交通省「物流総合効率化法

多くの場合、複数の企業の商品を1台のトラック・船舶・貨物車に積み込み輸送を行うため、サプライチェーン全体の業務効率化にとどまらず、従来からの課題である人手不足の解消や、CO2削減など環境負荷低減を実現に導く輸送方法として「共同配送」は活用されています。

民間企業の事例では、陸運業を行う企業 が、顧客ごとの積み合わせや同一カテゴリーの商品を一括配送することで配送効率化とコスト低減のための施策を行っています。その他にも、ミルクラン集荷、ルート配送、情報システムなどを組み合わせた物流全体を支援するサービスを展開するなど、現在では同業種間・異業種間の「共同配送」に乗り出す企業・事業所が増えつつあります。

「共同配送」には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。「共同配送」の実施を検討する際は、自社の商品や目的を確認しながら進めることが大切です。

■メリット

  • 積載率の向上による輸送コスト削減
  • 配送の効率化
  • 納品先での荷受け作業の軽減

など

■デメリット

  • 時間指定が難しい
  • 集荷・配送ルートの変更
  • 商品が十分に集まらない場合は輸送コストが割高になる

など

1-2.コンビニエンスストアの実証実験

過去の記事でもお伝えしましたが、2020年8月、大手コンビニエンスストア3社が店舗配送の共同化実験を行いました。その結果が、2021年2月に流通経済研究所から公表されました。

コンビニエンスストアの物流共同化の効果は、下記のとおりです。

  • チェーンに関係なく、最も近い店舗で配送ルートを組むことで、輸送距離を短縮できる効果
  • 輸送距離の短縮によって、CO2 の削減、フードマイレージ削減ができる効果
  • 配送距離が短くなることで、トラックの回転をあげることができる効果
  • 効率的な配送ルートを組むことで積載率を高めることができる効果
  • 納品時間を調整することで、トラックの生産性をあげることができる効果

(引用:流通経済研究所「大手コンビニ3社の店舗配送における共同配送の実証実験結果について」)

画像:流通経済研究所「大手コンビニ3社の店舗配送における共同配送の実証実験結果について

また、同レポートでは、納品時間を調整し最も効率のよいルートで配送するシミュレーションを行い、納品時間を調整することで大幅な効率化が可能であることも記されています。

これらの結果から、「共同配送」は物流効率化と生産性を向上させるための手法として効果があるといえます。
 

2.貨客混載の取り組み

2-1.貨客混載のメリット

物流の課題を解決するための手法として、「共同配送」以外にも「貨客混載」という輸送方法があります。

一般的な「貨客混載」では、鉄道や路線バスなどの公共交通機関に乗客と荷物を同時に乗せて運びます。
その他にも、最近では規制緩和によりタクシーの活用や、高速バスを利用し幹線輸送を行うケースもあります。

この輸送方法は「過疎化が進む地域の物流を維持する」という社会の課題に対応すると同時に、人口減少による公共交通機関の収益低下を改善する手法として、その効果が期待されています。

「貨客混載」に取り組む、ある大手宅配事業者は、過疎化が進み高齢者の見守りなどが困難になっている自治体と協定を締結しました。
同社が持つラストワンマイルのネットワークを活用し、配送と高齢者の見守りを併せた生活支援に取り組んでいます。

同社は別の地域においても、住民の高齢化により路線バスのダイヤ維持が困難になることが予想されることから、バスに荷台スペースを確保し、2015年6月から「貨客混載」を実施しています。
(参照:国土交通省「各地域における取り組み事例集」)

2-2.「貨客混載」成功のカギは荷主側の配慮と協力

「貨客混載」を成功に導くためには、いくつかの課題をクリアしなければなりません。

<貨客混載の課題>

  • 貨物量と公共交通機関の空きスペースがマッチするか
  • 物流事業者の車両運行と公共交通機関の運行時間が合うか
  • 荷物の積み下ろしの場所やタイミングの設定と、それを誰が担うか
  • コストを抑えることができるか
  • 荷主の理解を得ることができるか

など

「貨客混載」には解決すべき課題はありますが、買い物支援や荷物・商品の輸送時に「貨客混載」を実施し成果を挙げている地域もあります。
そのため、国土交通省は2020年11月に施行された「改正地域公共交通活性化再生法」で許認可手続きの迅速化や、物流拠点の整備を支援するなど「貨客混載」の活用を後押しする施策を実施しています。

スムーズな「貨客混載」を実現するためには、荷主・輸配送事業者・鉄道やバスの運営会社等の関係者間で、事前の取り決めを行うことが大切です。場合によっては、自治体との調整も必要です。
取り決め内容は事例ごとに異なりますが、商品に破損があった場合の対処法や、走行ルートの確認、運賃の設定などが考えられます。
トラブルを予防するために必要な項目をすり合わせた上で、書面で確認するとよいでしょう。

「貨客混載」をさらに推進するためには、輸配送事業者の努力だけでなく、荷主側企業の配慮と協力が欠かせません。
そのために荷主側が取り組むべき項目として、下記の項目が考えられます。

  • 荷物と公共交通機関の発着時刻の調整
  • 荷待ち・手待ち時間の削減
  • ドライバーによる荷役作業の軽減
  • 誰が荷物の積み下ろしを担うかのすり合わせ
  • 輸配送事業者が第三者に荷物を預けることへの許可
  • 積載率向上に向けた取り組み

など

ここまで、「共同配送」、「貨客混載」を実現するためには荷主企業の対応がポイントになる理由をお伝えしました。
ここからは、行政の取り組みをご紹介します。厚生労働省は「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」内で、「荷主連携マッチング〜あい積(づみ)ミーティング」を開催しています。
これは、荷主企業同士が連携する機会をつくり、物流生産性向上に向けた意見交換ができる場を設けることで、物流分野の課題解消への取り組みを進めることを目的としています。

画像:厚生労働省「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト荷主連携マッチング/あい積ミーティング

新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない現在、対処しなければならない課題が多く残されていますが、アフターコロナを見据えた施策を立案する好機でもあります。

この機会に業務全体の見直しや関係者と連携することを視野に入れ、サプライチェーン全体の効率化・生産性向上の実現に向けた施策の立案を行ってみてはいかがでしょうか。


 

3.共同配送実施時の課題・対応策

3-1.異業種・同業者間が連携する際の課題とは

「共同配送」、「貨客混載」には多くのメリットがあることをお伝えしましたが、課題も残っています。

<共同配送の課題>

  • 配送先・集荷先が複数あるため、従来のルート設計の変更を求められる可能性がある
  • システムが共通化されていないことで荷物の追跡ができない
  • 急な依頼で荷物の追加が発生した場合、事前の予定を柔軟に変更できない
  • 異業種間の共同配送では、温度管理が求められる商品の積み込みが難しいケースがある
  • パレットや外装規格が異なることで積載率低下、保管スペース確保が難しい
  • 運行時の情報共有体制の構築が必要

など

また、輸送効率化を実現するためには、積載率の向上は外せません。積載率を向上させるためには、パレットサイズを統一することが理想ですが、この部分に関する提言は行われているものの導入に至らないケースが多く、課題は残されたままです。

パレットサイズについては、特に加工食品分野は各社で外装サイズが異なることが多く、積載率が低下する原因であると指摘されています。

上記の課題を解決するため、公益社団法人日本包装技術協議会は「加工食品分野における外装サイズ標準協議会」を設置し、2021年4月に「加工食品の外装サイズ標準化ガイドライン」を策定、同協議会のHPで公開しました。

画像:公益社団法人日本包装技術協議会「加工食品の外装サイズ標準化ガイドライン

公表されたガイドラインを指針に規格の標準化が進むことで、今後、サプライチェーン全体の効率化・最適化がさらに前進することが期待されます。

3-2.「共同配送」をサポートするCariotの機能

事前に設定したルートで輸送を行う場合でも、さまざまな理由で遅延やトラブルが発生することもあります。その際、どの程度の荷量であるかの確認や、現状把握を素早く行い対処することが求められます。

ここからは、モビリティ業務最適化クラウドCariotの機能の中から「共同配送」をスムーズに行う際に役立つ機能の一部をご紹介します。

■ルート設計
・ルート機能
配送先の拠点と配送順序を登録し、ルート設計を行うことができる機能です。
共同配送で必要になる新規配送ルートの作成や、業務にまつわる時間の短縮、コスト削減などの業務効率化の実現をサポートします。
また、Cariotのエリアマップ機能と連携させることで、次の配達拠点への到着予定時間が確認できます。

・ルート最適化(オプション機能)
実際の走行ルートと、それを元にAIが算出した最適ルートを比較できる機能です。
本機能では、最適な走行ルートが最大20件確認できる他、提示された最適なルートの履歴を残すことができます。共同配送で新しく配送先が多くなった場合でも、最適なルートを検討することができます。

■荷量把握
・配送計画/荷量情報管理
Cariotの「配送管理」機能に「荷量管理」機能が新たに追加され、さらに便利にお使いいただけるようになりました。
新機能が追加されたことで、従来の機能で確認できた目的地への発着状況に加え、予定通りに積荷が配送されているかの把握・車両の積載率の分析ができるようになりました。


■現在地の把握
・DriveCast
Cariotのアカウントがない外部の関係者の方々でも、車両の位置情報や到着予測時間を地図上で確認することができます。
DriveCastで発行した共有URLを着荷主や訪問先にお伝えすることで、現在位置の確認などの問い合わせ対応の負担を軽減できます。共同配送における「車両の現在地の把握」管理の難しさも、この共有URLで解決することができます。

この他にも、CariotのWebサイトでは、車両を利用し業務を行う皆様の業務効率化・生産性向上をサポートするさまざまな機能をご用意しています。
CariotのWebサイトの「機能ページ」では、業種別・課題別などでお客様の課題を解決に導く機能が検索できます。こちらもぜひ、ご覧ください。
 
 
※本記事の情報、及び画像は、記事作成時点のものです。詳しくは最新の情報をご確認ください。

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