オリンピック前年の2019年、交通取り締まりが厳しくなるワケ
こんにちは、Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。
皆さまは今年、2019年が“交通取り締まり強化の年”となっていることをご存知でしょうか?
18年10月、警察庁は各都道府県の県警の長などへ通達した文書「平成31年中における交通警察の運営について」の中で、交通死亡事故等抑止のための交通警察の運営重点を示しました。
東京オリンピックの前年にあたる19年。このタイミングでの通達には、どのような意図があるのでしょうか?
【目次】
1.取り締まり強化に至る背景
2.どんなことが厳しく取り締まられる?
3.今後の運転で気をつけたいポイント
1.取り締まり強化に至る背景
2016年に内閣府が公開した「第10次交通安全基本計画」において、政府は「2020年(平成32年)までに交通事故死者を2,500人とし、世界一安全な道路交通を実現する」という目標を掲げました。
実際、交通事故死者数は年々、減少を続けています。下記のとおり、昨年度は全国で3,532人と、2年前に比べ約10%減となっています。しかし、このままのペースでは前述の目標到達は厳しい状況といえるでしょう。
着実に事故のリスクを減らしたい…。それを早急に実現させるため、国を挙げての交通取り締まり強化へと繋がったのではないでしょうか。
◆交通事故死者数(全国)◆
2016年 3,904人
2017年 3,694人
2018年 3,532人
(※警視庁発表資料より)
折しも、19年6月には「G20大阪サミット」、同9月にアジア初の開催となる「ラグビーワールドカップ」、そして20年7月からの「東京オリンピック」…と、国際的イベントが目白押しです。この2年間、日本へ関心が向けられる機運が高まっています。
国が交通死亡事故減少を目指す目的としては、当然ながら国民を交通事故から守り、安全で安心な生活を保証することにあるかと思います。
それを世界からの注目が集まるこのタイミングで達成できれば、日本を“世界一安全な道路交通の国”として十分にアピールできることにもなるでしょう。
なお、18年度の都道府県別の交通事故者数を見てみると、上記イベント開催エリアでの死亡事故発生件数が上位となっていることも、今回の通達に至った理由のひとつとなっているのかもしれません。
◆都道府県別の交通事故死者数(2018年・上位5位)◆
1 愛知 189人
2 千葉 186人
3 埼玉 175人
4 神奈川 162人
5 兵庫 152人
2.どんなことが厳しく取り締まられる?
通達の内容としては、幼児・学童や高齢者への交通事故防止策の推進をはじめ、交通事故事件捜査や交通規制の見直しなど合理的な交通警察業務の推進、交通事故抑止に向けた交通指導取り締まりの推進まで多岐に渡ります。
その中でも、社用車、営業車をお持ちの企業様が注目したいのは、やはり「交通取り締まり」に関連する事項なのではないでしょうか。
- 新たな速度取り締まり機器の導入による「ゾーン30」等生活道路の取り締まり強化
- 事故多発エリアにおける白バイやパトカーによる警戒活動の強化
- 悪質性・危険性の高い運転に加え、迷惑性の高い違反に重点を置いた指導取り締まり
- シートベルト着用、チャイルドシート使用、横断歩行者等妨害等の取り締まり強化
※「平成31年中における交通警察の運営について」より抜粋
今まで速度超過などの交通取り締まりの多くは、主要幹線道路や交差点で行われていました。一方、住宅地などで構成される「ゾーン30」などの地域は、取り締まり場所確保が困難なため実施が叶わず、歩行者への危険が及ぶ悪質な行為があっても、ほぼ見過ごされてきたのが現状です。
今後、狭い道へ速度取り締まり機器が導入されることにより、少ないスペース、人員での取り締まりが可能になります。
なお、警視庁の統計資料によると、近年の歩行中の交通事故死傷者の中で一番多いのが7歳児で、実に高齢者の約2倍となっています。通学路含む生活道路での歩行者の安全確保に重点を置いた策には、そのような背景もあるのかもしれません。
また、シートベルト未着用や駐車違反といったドライバーにとっては身近に起こりうる違反についても、今回の強化対象となっています。
さらには、飲酒運転、無免許運転から、世間を賑わすあおり運転、運転中の携帯電話使用など、交通事故に直結しかねない悪質で危険な運転に至るまで、取り締まりの目が厳しく光るようになります。
3.今後の運転で気をつけたいポイント
上記のとおり危険性が高い一連の運転や、周囲の迷惑になる違反を少しでも減らすべく、場所、時間を問わず取り締まりが強化されることとなります。
悪質な運転などは本来、行ってはならないものですが、今後ドライバーはより緊張感をもって常に安全運転を心がけることが求められるでしょう。
飲酒運転、無免許運転に関しては運転者だけでなく、同乗者や勤務先などの関係者に対しての捜査がより徹底され、状況によっては責任が問われる点も見過ごせないポイントです。
違反運転を助長する行為があったと判断された場合にはそれぞれ飲酒運転幇助(ほうじょ)罪、無免許運転同乗罪として立件されることにもなります。
酒気を帯びていて飲酒運転となるおそれがある人への車両の提供、運転者が無免許と知りながら運転を要求、依頼して同乗してしまった、など少しの気の緩みから違反に発展してしまうこともあります。
企業としては運転手への注意喚起をはじめ、日頃から安全運転への意識を高くもち、ドライバー・車両状態の把握、管理の徹底を行いたいものです。
「ちょっとくらいは大丈夫だろう」「なんとかなるだろう」で済んできたケースが仮にあったとしても、もちろんNG。
1件の違反が企業のイメージダウンや利益損失を招いてしまうリスクを想定し、ドライバーも管理者もこのタイミングで意識を改めたいところです。
一人ひとりのちょっとした心がけで悲惨な交通事故を少しでも減らし、安心安全な道路交通を目指したいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもCariotは、より便利に使っていただくための機能の開発を進めてまいります。
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