車両管理とは|目的や業務内容例・台帳の記入方法をわかりやすく説明

Cariotを活用した車両管理完全ガイド
「車両管理とは」という基礎知識から社用車事故を防ぐ安全運転のポイントまでを解説しています。これから車両管理をはじめる方や、もっと効率的な管理体制を整えたいご担当者におすすめの資料です。
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※当記事は2022年9月30日に改定されています。
こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。
自社の社用車はしっかり車両管理したいと考えている経営者の方も多いと思いますが、車両は管理者の目が届きにくい社外で使われるため、なかなか簡単ではないでしょう。
しかし、万が一社用車で事故が発生した場合、企業として社会的な評価を下げることにもつながってしまうため、迅速かつ最善の対応が求められます。
そのようなリスクを軽減するためには、日頃から車両管理の徹底が重要になります。
今回は、車両管理について法令や実際の業務についてもご紹介します。
1.車両管理とは
車両管理とは企業や組織が所有する車両を管理する業務です。
しかし、単に車両の情報だけではなく、整備や使用状況・車両保険など細かく管理することも業務に含まれます。
車両管理の目的としては、以下の項目があげられます。
- 従業員の生命安全確保
- 社内資産管理
- コストの管理
- リスク回避
また、道路交通法では、下記の場合、安全運転管理者の選定が義務付けられています。
乗車定員が11人以上の車両を1台以上使用する事業所、また定員に関わらず5台以上の車両を使用している場合です。
車両管理規程の作成は必須
車両管理規程とは、従業員が業務で使用する社用車に関して企業が定めるルールです。
企業の車両管理規程の作成は法令で定められています。
車両管理規程を作成する必要性としては、2つの理由があります。
民法第715条に基づく理由
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
(出典:e-gov法令検索)
この法律では、従業員が勤務中に事故を起こして損害を与えた場合、車両管理規程に基づいて日頃から従業員に対して注意をし尽くしていたと認められなければ、使用者は賠償責任を免れないことが定められています。
よって、社用車を持つ使用者(企業)は車両管理規程の作成が必須といえます。
その際、車両台帳と運転者台帳を作成し、業務として車両を使用する人と、安全な運転を義務づけるための項目を記載しておきましょう。
道路交通法(第74条の3「安全運転管理者等」)に基づく理由
自動車の使用者(道路運送法の規定による自動車運送事業者(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)の規定による貨物軽自動車運送事業を経営する者を除く。以下同じ。)及び貨物利用運送事業法の規定による第二種貨物利用運送事業を経営する者を除く。以下この条において同じ。)は、内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、年齢、自動車の運転の管理の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、次項の業務を行う者として、安全運転管理者を選任しなければならない。
(出典:e-gov法令検索)
道路交通法では企業に対して社有車の運用に対して規則を設けることを定めています。
また、その罰則が年々厳しくなっていることもあり、車両管理規程の作成と、定期的な見直しが欠かせません。
車両を5台以上所有する企業は「安全運転管理者」を選任し、車両管理規程に記載する必要があります。
2.車両管理が重要な理由
車両管理が重要な理由は「企業・従業員・第三者を、事故や損失から守るため」です。
例えば、従業員が社用車で交通事故を起こした場合、企業(使用者)が日頃から車両管理と従業員への指導・監督を徹底していたと認められなければ企業側は責任を免れません。
もちろん、日頃から車両管理と指導・監督を実施することは、事故防止にもなり、従業員を守ることにもつながります。
そして、事故による第三者への加害を防ぐ意味でも、車両管理は極めて重要です。
事故が発生した場合、多くのケースで企業は経済的損失もしくは社会的信用の喪失を被ります。
交通事故の損害・影響は非常に大きいため、車両管理を徹底的に行い、従業員に安全運転を心がけるよう十分に対策をしなければなりません。
3.車両管理に欠かせない安全運転管理者
運送業や特殊車両を扱う業種に限らず、一定台数以上の自動車の使用者であれば安全運転管理者が必要です。
安全運転管理者とは、乗車定員が11人以上の車両を1台以上使用する事業所、または5台以上の車両を使用している場合に、選定が法令で定められているものです。
また、副安全運転管理者の選定も定められており、20台から39台までの社用車に対して1人、40台から59台までは2人、それ以降は20台ごとに1人の追加選任が必要です。
なお、安全運転管理者になれる条件は以下の通りです。
- 年齢が20歳以上(副管理者を置くことが義務付けられた事業所では30歳以上)
- 2年以上の運転管理の実務経験(公安委員会の教習を終了した場合は1年)
ただし、上記の条件に該当しても、違反歴によっては任命できないようになっているので、注意が必要です。
以下に該当する場合は、安全運転管理者として選定することができまません。
- 過去2年以内に安全運転管理者等の解任命令を受けた場合
- 以下の違反をした日から2年経過していない場合
- ひき逃げ
- 無免許運転
- 酒酔い及び酒気帯び運転
- 無免許運転車両への同乗
- 酒酔い及び酒気帯び運転車両への同乗
- 交通違反の下命・容認(酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許・無資格運転、最高速度違反運転、積載制限違反運転、放置駐車違反、自動車使用制限命令違反)
4.車両管理の業務内容
安全運転管理者の業務内容は、ドライバーの安全を管理するための内容が主になっています。
業務内容は以下の通りです。
- 運転者の適正等の把握
- 運行計画の作成
- 交替運転者の配置
- 異常気象時等の措置
- 点呼と日常点検
- 運転日誌の備付け
- 安全運転指導
上記のように、安全運転管理者の業務はドライバーの安全面を管理するための重要な役割を担います。
安全運転管理者が業務を怠ったり、十分な業務を行わなかったりすると、重大事故が発生するリスクが高まります。
賠償責任の発生につながる可能性もあるので、業務の適切な遂行が求められます。
また、上記の業務内容は安全運転管理業務のすべてではなく、最小限の範囲と考えるべきとされています。
安全運転管理者の業務は「安全な運転に必要な業務」ということで、かなり広範囲にわたる内容を意味しています。
運転者の管理
安全運転管理者が行う運転者の管理とは、車両の運転をする人の適正や知識・運転技能を把握し、運転時に道路交通法を守っているかを把握するための手段を取ることです。
具体的には、安全運転に対する基準(運転歴、違反歴等を含む)を満たしている運転者のみに与える「社内運転許可制度」を実施します。
基準を満たすドライバーは、運転者台帳に記載し、管理を行います。
また、運転者台帳の作成は運転者の所属する事業所に備えることが法令で決められています。
車両管理台帳の記入
車両管理台帳では、会社が所有している社用車の登録番号や車検日などの情報、保険に関する情報を管理します。
これは事故が起きた際のリスクを最低限に抑えたり、事故に備えたりするために必要となります。
もし事故が起きた際には運転者だけでなく、車両を管理している企業にも責任が生じる可能性があります。
適切に管理し、車両の状況を可視化して把握することでリスク管理の実施が可能です。
また、社用車は会社の資産でもあり、しっかりと管理して、無駄なコストを削減するためにも、車両管理台帳の記入は大切です。
車両管理表に必要な項目は下記のとおりです。
- 車両を特定する項目
- 車両本体にかかわる項目
- 購入にかかわる項目・廃車にかかわる項目
- 車両の状況を把握する項目
- 車検・整備状況にかかわる項目
- 修理・事故にかかわる項目
- 使用・管理にかかわる項目
- 車両の保険に関する項目
- 自賠責保険
- 任意保険
他にも車両の使用実態に応じた必要項目の記録をして、車検や点検時期などわかりやすいよう管理すると、事故が発生した際により役立ちます。
5.車両管理台帳を作成する方法
車両管理台帳の作成には、主に「エクセルのテンプレートを利用する方法」と「車両管理システムなど専用のシステムを利用する方法」の2つがあります。
ここからは、それぞれの方法の特徴とともに、メリット・デメリットも確認していきましょう。
エクセルのテンプレートを利用
社用車の運用台数が少ない場合は、エクセルのテンプレートがよく使われています。
テンプレートは無料でダウンロード可能となっています。
関数を使用して必要な情報を抽出できるので、会社の状況に合わせて自由に編集、活用できる点でもおすすめです。
車両管理台帳以外にも、車検のリストや任意保険の加入をまとめるリストなどもテンプレートに含まれている場合があります。
エクセル・テンプレートを利用するメリット・デメリットは下記の通りです。
- 無料で導入できる
- 「Microsoft Excel」がインストール済みなら、すぐに使い始めることができる
- 共有が簡単
- データ管理やミスのチェックに人手やコストがかかる
- セキュリティ面の不安がある
車両管理システムを利用
車両管理システムとは、車両情報・運行情報・利用者情報などを一元管理できるシステムです。
具体的には、車種やナンバーなどの基本的な情報から、車検などのメンテナンス情報、リース車の契約内容などもシステムでまとめて管理することができ、さまざまなリスクや業務負担を軽減できます。
車両管理システムの導入によるメリット・デメリットは下記の通りです。
- 管理者の負担軽減
- 交通事故削減
- 車両情報の精度向上
- コスト削減
- 業務効率化
- 利用料がかかる
車両管理システムは機種によってもできることが異なるため、事業に合ったシステムを選びましょう。
6.車両管理システムの選び方
車両管理システムを導入する場合、自社に最適なものを選ぶことが重要です。車両管理システムの選び方にはいくつかポイントがあるため、以下で確認してください。
- 充分な車両管理機能
- コスト削減
- 業務負担の軽減
- その他の自社課題の解決
- デバイス・タイプ
車両管理システムには様々なデバイス・タイプがあります。具体的には、カーナビタイプ、デジタコに近い製品、スマートフォンやタブレットを用いる製品など、様々なタイプがあるため、車両のタイプや従業員の使いやすさなどを考慮して選んでください。
保険の加入状況、車検日など、車両管理で必要な項目をすべて網羅しているかチェックします。情報の見やすさや操作性についても、導入前に確認することが得策です。
ルート最適化や、稼働率の計測・可視化などの機能が搭載された車両管理システムを利用すれば、燃料等のコスト削減が期待できます。
AIによるルート最適化、日報・月報の自動作成、アラート機能などを備えた車両管理システムを利用すれば、業務負担の軽減や省人化に役立てることができます。
現在、車両管理システムは様々な企業から提供されており、搭載された機能もそれぞれに異なります。むやみに多機能なサービスを選ぶのではなく、自社の課題を明確にした上で、その解決に役立つ機能を備えた車両管理システムを選ぶようにしましょう。
車両管理システムについてもっと知りたいという方は、こちらをご覧ください。
7.車両管理の効率はアプリの活用で向上
車両管理はスマートフォンアプリを活用することで、さらに業務を効率化することができます。
大がかりな機器の導入も不要なことが多く、時間や場所に関わらず運行管理業務を行うことができるからです。
Cariot(キャリオット)ではクラウド上に情報を一元管理しリアルタイムでの車両管理が可能になっているのはもちろん、車両管理台帳や動態管理といった業務まで対応できます。
専用機器を購入する必要もなく、スマートフォンがあれば、簡単に利用が可能です。
車両の走行データは自動的に記録されるため、属人的な事務作業の削減につながります。
また危険運転を検知し通知する機能もあり、安全運転管理にも役立ちます。
必要な機能を有効活用し、最適な車両管理システムを導入しましょう。
8.まとめ
今回は車両管理について、管理の必要性や法令のご紹介をしました。
車両管理は社用車の交通事故発生といった、リスクに備えるために重要です。
社用車の事故が起きると、企業的にも、社会的にも大きな損害が発生するので、リスクを軽減するために車両管理が必要です。
車両管理システムを活用すると、より便利で精度の高い車両管理が可能になるのでおすすめです。
この記事を参考に、車両管理を徹底しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもCariotは、より便利に使っていただくための機能の開発を進めてまいります。
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※2021.07.14 改訂
※2022.09.30 改訂