中小企業の事業継続力強化へ!高まる「BCP」の重要性と国からの支援
こんにちは、Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。
世界で最も自然災害が多い国のひとつとされる日本ですが、特に近年では大規模な大風や水害、地震が多発しています。そのような有事のリスクに備えて、緊急事態の初動対応や復旧計画などをBCP(事業継続計画)として定める企業も年々、増加傾向にあります。
そんな中、緊急時の物流維持などに向け企業単体の努力だけでなく、特に中小企業に対して国としてのサポートを手厚くし、対策を強化していくといった動きが出てきています。
今回のブログでは、企業ごとのBCP策定の進捗、物流業界における未策定のリスクと、国からの支援内容を中心にご紹介しています。
【目次】
1.緊急時の初期対応から復旧計画まで。企業における「BCP(事業継続計画)」
2.大企業で約8割、中小企業で約5割が策定しているBCPの重要性とは?
3.保険加入、二重ローン…。被災後のリスクにどう備える?
4.低利融資、税制優遇…。BCP策定支援を盛り込んだ「中小企業強靭化法」が7/16施行!
5.企業に応じたBCP策定で、安定した事業継続の計画を
1.緊急時の初期対応から復旧計画まで。企業における「BCP(事業継続計画)」
BCP(事業継続計画)とは「Business Continuity Planning」の略で、災害などが発生した際、企業がどのようにして事業活動を継続していくかを計画したものです。
このブログをご覧いただいている方の中には、すでに策定済みであったり、検討中であったりする企業様も多いのではないかと思います。
自然災害や大火災、ひいてはテロ攻撃まで。いずれも有事の事態ですが、その発生自体を防ぐことは困難であり、都度、何らかの被害が及んでいるのが現状です。
例えば「台風19号〜21号」の上陸や「西日本豪雨」、北陸地方の記録的な大雪をはじめとする「平成30年豪雪」が発生した2018年には、その影響で高速道路などが通行止めとなり、その度に物流の停滞など大きな困難をもたらしました。
そういった緊急事態に遭遇した場合において、各企業は事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続または早期復旧を可能とするため、平常時に行うべき活動対策、緊急時における事業継続のための方針・手段などを取り決めておく必要があるとされています。
2.大企業で約8割、中小企業で約5割が策定しているBCPの重要性とは?
有事の際、企業対応の柱となるBCPですが、実際の策定状況はどのようになっているのでしょうか?
内閣府の「企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によると、下記グラフの通り、大企業と中小企業ではBCPの策定状況に開きがあることがわかります。17年(平成29年)度の場合、「策定済み」の割合は大企業が64.0%、中堅企業が31.8%。「策定済み」「策定中」を合わせると、大企業は81.4%と8割を超える一方で、中堅企業は46.5%と半数に満たない状況となっています。
◆BCP(事業継続計画)の策定状況◆
大企業と中小企業のBCP策定状況は下記となっています。
※内閣府「平成29 年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」
どの企業においても従業員の安全確保を最優先とすることはもちろん、物流センターや倉庫をお持ちの企業様にとってはそれら施設の被害状況の把握や復旧計画など、BCPとして策定しておきたい項目は多岐に渡るのではないかと思います。
緊急時を想定した際、的確に判断し行動するためにBCPを策定・運用している企業では、指針に沿った事業の早期復旧や継続が望めるでしょう。一方で、BCPを策定・運用していない企業においては、復旧の遅れによって自社製品・サービスが供給できず、事業の縮小、ひいては廃業に追い込まれてしまうといった懸念が考えられます。
3.保険加入、二重ローン…。被災後のリスクにどう備える?
いつ、どこで起きるのか予測が難しいさまざまな災害。企業規模にかかわらず、自然災害などによる被害のリスクは常にあると思います。
そういったリスクを考慮した際、企業側の事前対策としてまず挙げられるは「災害に備えた保険加入」です。
倉庫での貨物保管や運送サービスを行うある業者においては「火災保険には加入しているが、コスト的につり合わないため地震保険は未加入」だといいます。また、地震や震災などで施設が倒壊し、建て直しや修繕が必要となった場合 “二重ローン”となってしまうことも大きな懸念と捉えているようです。
施設建設時の調達資金を返済し終えないうちに、さらなる資金が必要となってしまったら…。事業そのものが行き詰まってしまうことは避けられないかもしれません。
また実例として、災害によって倉庫に保管していた商品が水没してしまったある運輸業者においては、水害を想定した保険には加入していなかったため、取引先への補償が問題となったケースも過去に発生しています。
4.低利融資、税制優遇…。BCP策定支援を盛り込んだ「中小企業強靭化法」が7/16施行!
上記の過去事例にもあるように、企業が想定外の被害により被災後の事業継続に問題を抱えてしまうケースは多々、生じています。
経営基盤や体制などから鑑みた場合、とりわけ中小企業においてはその影響を大きく受けやすいのではないでしょうか。異常気象などに伴う災害の頻発化なども相まって、自社のみの災害対応力で備えるのは厳しい状況となっているのかもしれません。
そういった背景を踏まえ、19年5月の通常国会で可決、成立していた中小企業の生産性向上を国がサポートする「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律」(以下、「中小企業強靱化法」)が、いよいよ同7月16日に施行となりました!
この法案では、中小企業単体・複数企業連携のBCP策定に対してさまざまな支援措置を設ける内容となっています。新たに経済産業大臣による認定制度を設定、評価基準を満たした認定企業については、下記のような低利融資や税制優遇、補助金の優先採択などが受けられます!
◆BCP認定企業への財政的な支援措置◆
1.税制上の優遇措置
防災・減災設備への投資に対する特別償却(20%)の適用
<対象設備>
機械装置(100万円以上) :自家発電機、排水ポンプ等
器具備品(30万円以上) :制震・免震ラック、衛星電話等
建物附属設備(60万円以上):止水板、防火シャッター、排煙設備等
2.金融支援
- 計画に必要な設備資金等に関する日本政策金融公庫からの低利融資
- 信用保険の別枠付保等
3.補助金の優先採択
- 中小企業庁が所管する補助金採択に当たっての加点
法案の概要については、以前以下のブログでもお伝えさせていただいておりますので、よろしければこちらもご覧ください。
「中小企業強靭化法案」が閣議決定、BCP策定支援も!
なお同法においては、過去の災害被害による事例なども参考に、BCP作成指針の中に保管貨物の補償額など「災害保険の見直し」を盛り込んだ点も注目したいポイントです。BCP策定の効果や災害時における対応の重要性に加え、保険や共済への加入といったリスクファイナンスも重要視されていることがわかります。
5.企業に応じたBCP策定で、安定した事業継続の計画を
ここまで、現在におけるBCPの重要性から「中小企業強靱化法」においての国からの支援内容までをご紹介してきました。
BCPは“緊急事態における企業の対応力の差”となります。BCPの策定・運用にあたっては、まず基本方針の立案を行ったうえで、その企業に応じた運用体制を確立しておきたいですね。
ただし、自然災害などの緊急事態は不測の事態であるがゆえ、実際にはすべてが想定通りになるとは限りません。国からのサポートをうまく活用したり、日頃から訓練や計画の見直しなどを適宜行い、日常的に運用を回すことでより有効で強力な計画となってくるのかもしれませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもCariotは、より便利に使っていただくための機能の開発を進めてまいります。
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