「ドライバー不足」は日本特有の課題?世界の物流事情から解決策を探る

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こんにちは、Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。

昨今、物流業界を取り巻く環境の変化に伴って「トラックドライバー不足」は深刻化し、社会問題にもなっています。
果たして、この問題は日本特有のものなのでしょうか?

今回は、それらの有効な解決策を探るべく、世界各国の物流業界やドライバー事情の“今”をお伝えするとともに、そこから見えてきた課題解決に向けたキーワードをご紹介します。

【目次】
1.物流業界の大きな課題「ドライバー不足」は日本特有か?
2.高齢化が進むアメリカ、スキル不足に悩むASEAN・アフリカ諸国…。各国のドライバー事情は?
3.納期厳守率、腐敗率、再配達比率、EC化率。物流KPI指標から見る各国の物流課題
 3-1.他国と比べた日本の物流状況は?再配達率は?
 3-2.その他の国の物流事情は、日本とは全く違う!
4.物流課題の解決策を出すには、まず何が必要でしょうか?
 4-1.個別の状況を知る、つまり”見える化しよう”とよく言われるのはなぜなのか?

 

1.物流業界の大きな課題「ドライバー不足」は日本特有か?

「10連休が与えた物流業界への影響と今後の配送/車両管理」のブログでもお伝えしておりますように、日本においては近年のEC市場の拡大に伴い、運送業者の業務量は増加の一途を辿っています。さらにドライバーの高齢化といった要素も相まって、人手不足の状態が続くと予測されています。

深刻化が懸念される上記問題は、物流業界ひいては日本の物流システムに大きな影響が及ぼされる懸念があるということも広く認知されてきているのが現状です。

そういった課題の根本的な改善に向けては、事業者のみならず、国としてもドライバーの労働条件改善策を盛り込んだ「改正貨物事業法」の施行など法改正の面からも改革を進めようとしています。
このように国を挙げての対策が必要となっているドライバー不足問題ですが、果たして日本特有のものなのでしょうか? 視点を世界に向けてみた場合はどうなっているのでしょうか?

 

2.高齢化が進むアメリカ、スキル不足に悩むASEAN・アフリカ諸国…。各国のドライバー事情は?

PwCコンサルティングの調査リポート「物流の困りごと 世界のドライバー不足はなぜ起こるか?」の中で、日本をはじめとする各国のドライバー事情や課題点について以下のようにまとめられています。

“世界に大きな影響力を持つ“経済大国”アメリカ合衆国。実は、アメリカも日本のドライバー不足の実態と近く、ドライバーの高齢化が進んできています。”

ASEAN(東南アジア諸国連合)やアフリカ諸国においては、経済成長に伴い物流需要が伸びてきているものの、トラックの数に比べ、運転できる免許保有者が少ない状況にあるようです。さらに、現地ではトラックの衝突や横転事故が多発しており、免許を保有していても安全に運べるスキルを持ったドライバーが不足しているといった問題も生じています。

一方で、ドライバー不足に悩んでいない国もあります。
ドイツでは、長距離輸送を移民労働者、都市内輸送は自国の若者が大型バンで対応するといったスタイリッシュなワークスタイルを採用することでドライバー不足を回避できている様子です。

ドライバー不足は日本特有のものではないものの、原因や課題点は国ごとでさまざまあることがわかります。

 

3.納期厳守率、腐敗率、再配達比率、EC化率。物流KPI指標から見る各国の物流課題

さて、上記のように国によって異なる物流輸送の「担い手」事情ですが、国が違えば物流を取り巻く環境も、もちろん異なります。そのため、課題解決を検討する際には、その国ならではの定義や実情を加味した上での見極めと対応が重要になってくるのです。
下記の表は、物流の主要KPIから見た各国の物流実態を示しています。


※PwCコンサルティング「2018年グローバル物流実態調査」を基に作成

納期厳守率・・・正確な配達がされているかの割合
腐敗率・・・輸送品質を担保されているかの割合、生モノの腐敗や輸送中の破損など
再配達率・・・宅急便個数に対する再配達個数の割合
EC化率・・・すべての商取引のうちECが占める割合

このほかにも「誤配率」「盗難率」、ドライバー数から荷物個数を割った「ドライバー対応負荷」など、物流実態をはかる指標は多岐に渡ります。

 

3-1.他国と比べた日本の物流状況は?再配達率は?

こういった視点から日本の物流の現状を見てみると、納期厳守率は主要国の中で最も高い98.6%、腐敗率も5.0%と低く、日本は“品質を担保した上で、指定日時を遵守する”傾向にあることがわかります。一方で、再配達率は20.0%と最も高く、上記のような正確な配達を完了させるために、ドライバーには多くの負荷がかかっているという現状も浮き彫りになりました。

 

3-2.その他の国の物流事情は、日本とは全く違う!

インドネシア、インドといった新興国においての納期厳守率も97.0%を超えており、日本(98.6%)と同水準に達しています。
一方、EC化率は1%ほどと日本の1/4以下となっていますが、腐敗率はいずれも二桁と日本の3倍以上。インドにおいては再配達率が日本に次いで2位の15%です。
そこへいくと近隣の中国ではアリババグループに代表されるようにECが非常に盛んです、EC化率は日本の2.5倍以上となっています。ただし腐敗率は日本の4倍以上と、大きな課題となっています。

これらを踏まえると、各国のそれぞれが抱える物流課題を解決するには、各国の傾向や現場ごとの状況といった固有事情を把握し、課題解決の方向性を定めていくことが有効となってくるといえるのかもしれません。

 

4.物流課題の解決策を出すには、まず何が必要でしょうか?

では、日本の物流における固有の事情とは何でしょうか?
さきほどの表では、「納期」「腐敗」率は非常に良いのですが、再配達率が断トツの20%です。EC化率は低いですが、低い分、これから伸びる可能性を秘めています。となれば、再配達率は更に上振れすると予想もできます。

前述の内容を踏まえ、再配達率を下げる取り組みや方法を検討する、もしくは再配達率UPも考えた上で料金設定や人員・配送を見直す、など、さまざまな案が出てくると思います。もうすでにUPされている企業もあります。

4-1.個別の状況を知る、つまり”見える化しよう”とよく言われるのはなぜなのか?

上記のような案が出てくるのは、これも現状を数字として「目に見える」ようにしたからです。数値化して固有の事情を知れば、さまざまな対策案を考える事ができます。ボトルネックをはっきり明確に分かる形で出す。次に大事なことは、関係者への共有でしょう。それで社内で数値化されたものに対し共通認識を持てば、一人で抱えているより前へ進みやすくなります。

トラックなどにデジタコの装着が義務化されているのも、車両の運行実態を数値化して見える化するためのものしょう。デジタコは不要でも、最近の車両管理システムなど、デジタルツールを利用して「業務の見える化」を図ると、対策案の実施にグンと近づきます。

ドライバーが今、どこを走っているのか? 到着予定時間はいつになるのか? 何分遅れるのか? といった情報を、運行管理者や荷主がリアルタイムで把握できるようになれば、積み荷、荷降ろしの準備が事前にでき、待ち時間の短縮になります。

また、ガードマンやドライバー同士もそれぞれの車両位置が分かることで、安全な車両誘導ができるといった嬉しいメリットも生まれます。ドライバー1人あたりの運搬量が増加し、効率化が叶うことは、結果としてドライバー不足解消へと繋ります。

日本国内市場の実績値(15年)を基に物流の非効率改善を試算した場合、国内では1%の効率性改善で10,463トンキロの運送効率が上がり、年間では計4.3兆円市場になるともいわれています。

目の前にある固有事情を把握、見える化した上での、一つひとつの取り組みが大きな改善実現への一歩となっていくのかもしれませんね。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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