道交法改正で大型・中型免許が19歳から取得可能に!罰則は?
こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。
物流業界では現在、ドライバーの高齢化が問題視されています。
この問題を解決しようと、関連各省庁と企業がさまざまな取り組みを行うなか、「若手人材の採用に至らない」、「採用後、実際に運転業務を行うまで数年待たなければならない」という悩みを抱えている企業もあるようです。
今回は、若手人材が即戦力として活躍できる可能性がある「免許受験資格の緩和法案の国会提出」と「今後の物流業界に求められていること」についてまとめました。
【目次】
1.免許受験資格緩和に向け道交法改正へ
2.データで見る物流業界の人材不足と高齢化
3.免許受験資格の変更点は?罰則はあるの?
4.今後の物流業界に求められていること
1.免許受験資格緩和に向け道交法改正へ
トラック・バス・タクシーなど自動車運転業務に携わるドライバーの人手不足と高齢化が深刻さを増しています。
このままの状態が続けば、安定的に業務を行うことができなくなる可能性が指摘されるなか、各業界団体から「運転免許の受験条件緩和」を求める声が上がっていました。
2020年2月14日付の「物流ニッポン」によると、受験資格の緩和について、16年にタクシー業界、17年にはバス業界が政府の規制改革推進本部に対し、二種免許の受験資格の見直しを求めています。
さらに、19年に全日本トラック協会が警察庁交通局長に対し、大型・中型車免許に対して同様の見直しを求めていました。
これらの要望を受けた警察庁は、18年4月「第二種免許制度等の在り方に関する有識者会議」を発足させ、19年2月に「適切な安全対策を講じることができれば、受験資格を特例的に見直すことは適当」と提言したと報じています。
このような経緯を辿り、2020年通常国会に提出が予定されている「道路交通法の一部改正案」では、トラックの運転に必要な大型免許と中型免許、タクシーやバスの運転に必要な第二種免許が取得できる年齢・普通自動車免許の保有歴を引き下げる特例措置が盛り込まれています。
少子化で若年層の人口が減少しているなか、普通自動車免許を取得してから日が浅い若手ドライバーが受験できるようになれば、即戦力のドライバー数の増加が見込まれると同時に、慢性的な人材不足の解消と安定した物流の維持につながることが期待されます。
なお、運転免許の区分は平成29年にも改正されています。
画像:国土交通省「トラガール推進プロジェクト」
参考資料:警察庁「第二種免許制度等の在り方に関する提言」
2.データで見る物流業界の人材不足と高齢化
現時点で、ドライバーの高齢化はどの程度進んでいるのでしょうか。
厚生労働省のデータによると、ドライバーの平均年齢は大型トラックが48.6歳、中型トラックは45.9歳で、全産業の平均42.9歳と比べて、平均年齢が高いことが分かります。
年齢構成別では、40代~50代前半が全体の45.15%、29歳以下の割合が9.3%。全産業の同34.9%、同16.5%となっています。
このまま若年層の割合が増えなければ、ドライバーの高齢化は進む一方です。
画像:厚生労働省「統計からみるトラック運転手の仕事」
有効求人倍率も見てみましょう。
厚生労働省の資料によると、トラックドライバーの有効求人倍率は、平成31年5月時点で2.75倍となっており、それぞれ他の全業種の有効求人倍率1.35倍を大きく上回っていることが分かりました。
画像:厚生労働省「統計からみるトラック運転手の仕事」
欠員率も高止まりをしています。トラックドライバーの欠員率は5.7%で、全産業の合計である3.1%を大きく上回っていることが分かります。
この状態が続くと、現在就業しているドライバーが定年退職を迎える時期に物流の担い手が激減する可能性があります。
持続的で安定的な物流を維持するために、早急に解決しなければならない課題です。
画像:厚生労働省「統計からみるトラック運転手の仕事」
3.免許受験資格の変更点は?罰則はあるの?
トラックやバス・タクシーの運転ができる免許の受験資格は現在、
- 第一種大型免許:21歳以上で普通自動車免許の保有歴が3年以上
- 第一種中型免許:20歳以上で普通自動車免許の保有歴が2年以上
- 第二種免許:21歳以上で普通自動車免許の保有歴が3年以上
となっています。
前述した道路交通法一部改正案の特例措置としてこの法案が成立すれば、受験資格はいずれも「19歳以上、普通自動車免許の取得歴が1年以上」に緩和されます。
今回の特例措置で免許を取得するためには、運転技能に関する特別講習を受講する必要があります。
また、特例措置で免許の取得が許可されたドライバーの中で、現在の免許取得可能年齢になるまでの間に違反が一定の基準以上に達している場合、安全確保のための講習を受講することが義務付けられます。これを受講しないと「免許取り消し」となるため、注意が必要です。
管理担当者は、事前にドライバーの違反状況をしっかりと確認し、必ず特別講習を受けることと、これまでの違反が基準を超えている場合は、安全確保等の講習を受けるよう指導してください。
4.今後の物流業界に求められていること
物流業界は今、業務効率化・生産性の向上・働き方改革などへの対応が求められており、いくつもの課題を解決するため、法改正だけでなく関連各省庁が連携してさまざまな取り組みが行われています。
例えば、国土交通省・経済産業省・農林水産省は、トラック輸送の生産性向上・物流の効率化、女性・高齢者など「誰もが働きやすい環境づくり」に向けた「ホワイト物流推進運動」を展開しています。
また、女性ドライバーの活躍を推進する取り組みとして、国交省は「トラガール推進プロジェクト」で、情報発信を行なっています。
※Cariotは「ホワイト物流推進運動」に自主行動宣言を提出しています。詳しくはプレスリリースをご覧ください。
※「ホワイト物流」に関しては、過去のCariotブログ記事「ホワイト物流とは|ホワイト物流推進運動の概要・改題解決などを解説」をご覧ください。
物流企業の生産性向上と業務効率化のためには、動態管理をデジタル化し、業務全体を「見える化」することが大切です。
画像:国土交通省「中小トラック運送業のためのITツール活用ガイドブック」
デジタル動態管理システムを利用すれば、これまで管理者からは見えにくかった実際の荷待ち・荷受け時間の把握、効率のよいルート設定と実際の走行ルートの比較、日報・月報の作成、労務管理情報の収集など、業務に必要な各データが自動で作成されるようになります。
正確なデータが取得できれば、適切な運行管理が実現できるようになるだけでなく、工数を大幅に削減しながら業務を効率化でき、具体的な数値を元にした改善策の検討・実行によってコスト削減にも役立ちます。
従来のアナログ手法による動態管理では効率化が難しい場合は、動態管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもCariotは、より便利に使っていただくための機能の開発を進めてまいります。
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