【流通・小売業活用事例】配送状況の見える化で物流管理業務を月90時間削減
車両用途別Cariot事例集
数ある導入事例の中から、車両用途別の活用シーン(配送、収集・運搬、営業・サービス)ごとに数社様をピックアップし、導入前の課題と導入後の成果を掲載しています。導入をご検討される際の参考にぜひご覧ください。
無料でダウンロードこんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。
食料品や日用品の多品目などを取り扱うスーパーマーケットやコンビニエンスストアの小売店では、チルド・フローズン・米飯・常温など扱う商品の種類ごとに配送センターで在庫管理をしており、商品特性に合わせた納品時間・配送回数の綿密な物流計画が必要となります。
なかでも住宅地にある小型店舗では、店舗スペースを確保するためにバックヤードは必要最低限のスペースしか確保していないため、商品をまとめて納品して保管しておくことができません。そのため、品切れによる売上機会損失を発生させないために頻繁な配送が必要になります。結果として、各店舗の納品設定時間も前後数十分程度しか猶予が持てないという非常に厳しい時間管理が求められます。
今回は、流通・小売大手K社様の事例を元に、小売店への商品配送の効率化の取り組みにおいてCariotがどのように活用されているのかをご紹介します。
業種:流通・小売
車両用途:輸送車両
課題:配送状況の可視化による物流管理効率化
1.Cariot導入の経緯
1-1.配送状況が把握できていないことによる非効率を改善したい
K社様は食料品や日用品をメインに取り扱うチェーン店を全国に展開しています。
同社が運営している店舗は住宅地の中にある小型店が多く、店舗内での在庫保管場所が限られています。そのため、発注した商品が計画通りに配送されていないと品切れが発生し、客足が遠のき売上減少につながります。
同社ではこのような事態を避けるために、店舗到着時間が計画より15分以上遅れる場合には、ドライバーが配送管理部門および店舗に連絡を入れるというルールで運用をしていました。また、計画通りに配送が行えているのかを把握するために、配送ルートの最初の店舗と最後の店舗に到着した時点でドライバーから配送管理部門に連絡を入れる手法を取っていました。
上記の運用では、ドライバーにとっては連絡業務に時間を取られて配送効率が落ちること、配送管理部門にとっては配送状況がブラックボックスとなっていることで、遅延発生などによるイレギュラー対応が後手に回ってしまうといった点が課題になっていました。
業務効率化のためには配送状況をリアルタイムで把握することが必要だと考えた同社は、Cariotの位置情報取得のリアルタイム性に加え、配送計画の予実管理のしやすさに評価をして、Cariotの導入を決定しました。
2.導入時の課題と達成したいこと
2-1.配送状況を見える化して連絡工数を削減したい
前述したように、K社様は配送状況を把握するために各配送の最初の店舗と最後の店舗に到着した時点でドライバーに電話連絡を入れてもらうことで、計画通りに配送が行えているのかを確認していました。
この運用では、最終的に計画通りの時間に配送が完了しているかどうかは把握できますが、各店舗に計画通りに到着し納品できているのかという途中経過の状況は把握できません。
遅延が発生した場合には、配送管理部門はドライバーから遅延報告を受け次第、店舗運営部門に情報を展開し、さらに運営部門が遅延で影響を受ける店舗に連携をする、という情報のリレーが行われていました。店舗へのサービスレベル向上や配送管理部門・店舗運営部門の業務効率化において、この連絡作業の削減は喫緊の課題でした。
2-2.配送実績を分析して、より効率的な配送計画を策定したい
導入にあたりCariot営業担当がヒアリングを実施したところ、同社にとって「配送状況のリアルタイム把握の実現」という目的はあくまで短期的なゴールであり、最終的に達成したいのは「配送計画の最適化」であることが明らかになりました。
店舗への商品配送においては「計画通りに商品を届けること」が当たり前である必要があります。そのためには「遅延発生リスク」がどこにあるのかを、運行管理者が把握し、遅延リスクを抑えた効率的なルート設計ができる体制を作っていく必要があります。
Cariot営業担当者と同社の配送管理部門は、直近で解決すべき課題と将来的に着手すべき課題を整理し、その課題に対してCariotをどう活用していくのかを取りまとめました。
- 配送状況を正確に把握できていない
- 配送計画に差異が発生してもドライバーからの共有がないと把握ができない
- 遅延発生時に各部門への連絡工数が負担になっている
- 現在の配送計画や配送ルートに非効率があるのか判断ができない
- 遅延を発生させないための取り組みができていない
- リアルタイムで遅延情報を検知したい
- 計画通りに配送ができているのかリアルタイムで管理をしたい
- 遅延など計画差異が発生したタイミングで関係者に自動通知したい
- 走行データを蓄積し、現状分析をしたい
- 配送業務において非効率が発生している箇所を洗い出したい
- より効率的な配送ルートを設計したい
3.課題に対する打ち手
3-1.遅延発生を検知してアラートを関係者に自動送信
K社様は、まずは直近で解決すべき課題である「配送状況の把握」、「配送計画の予実管理」、「遅延発生時の関係者への通知」に対して以下のような取り組みを開始しました。
- 地図上で配送車両の現在位置を把握
- 各店舗への到着アラートの設定
- 配送計画の遅延検出時の自動アラートを設定
- 走行データを蓄積し、業務効率化および最適ルート策定に活用
3-2.配送ルート最適化のために見るべき指標
また、将来的に解決すべき課題に取り組むための準備として、配送実態を以下の指標で分析できるように走行データの蓄積も開始しました。
- 配送ルート別の配送計画の予実差分
- 配送ルート別の平均走行時間
- 店舗ごとの平均滞在時間
3-3.配送状況の可視化を実現するCariotの機能
上記の打ち手を実現するにあたり、同社にはCariotの下記の機能を活用しました。
・エリアマップ
リアルタイムで更新される車の位置情報から「車は今、どこにいるのか」がわかり、効率良く動態管理が行えます。ドライバーとの電話確認のやりとりの手間が大幅に軽減できます。
・到着予測
設定した運行ルートをもとに、車両の到着時刻を予測する機能です。車両の到着時刻は関係者で共有することができるので、「いつ到着するのか」という顧客からの問い合わせ対応や配車管理がスムーズに行えるようになります。
・出発・到着通知
設定した拠点に到着・出発したことを検知する機能です。到着・出発したことを、ドライバーからの連絡を受けなくても、また常に画面を見なくとも情報を知ることができ、効率的な車両管理ができます。
・配送計画
「どのような順番で、いつまでに目的地へ到着すべきか」という「配送計画」をCariot上で立てることができます。配送計画に沿って「どこまで配送したか」も確認できます。
・遅延の検知
配送計画から取り込んだ到着予定時刻と比較して、走行中の車両の到着予測時刻から遅延を検知・通知します。
・走行履歴
車が走るだけで詳細な走行履歴を取得できます。いつ・どこを・どのような速度で走行し、どこで・どれくらいの時間滞在したかを振り返って確認することができます。
・走行データ分析(重ね合わせ)
複数の走行履歴を地図上で比較することができます。複数の走行データをまとめて分析することで、無駄な走行や活動エリアの重複の発見につながります。
4.得られた成果と今後の展望
4-1.配送管理にかかる作業時間90時間/月を削減!
Cariotの導入によって、配送状況をリアルタイムで把握できるようになったK社様は、かねてからの課題である連絡工数の削減に着手しました。
同社は最初の取り組みとして、各店舗に到着時や配送計画に対して遅延が検知されたタイミングで、関係者に通知メールがCariotから自動配信される運用に変更をしました。これにより、店舗到着時や遅延発生時の連絡業務が不要となり、情報共有にかかっていたコミュニケーションコストを大幅に削減することができました。
また、各店舗への到着時間がデータとして自動でCariotに蓄積されるようになり、配送実績レポートも自動で生成できるようになったことで、配送管理部門で毎月90時間近くかかっていた配送実績レポート集計・報告業務の作業時間の削減を実現しました。
さらに、配送車両の位置情報や到着予測時間をリアルタイムで把握できるようになったことで、店舗からの問い合わせにもスムーズに対応できるようになり、店舗へのサービスレベル向上にもつながっています。
さらに、蓄積した走行データから新たな改善箇所も見えてきました。
Cariotの駐車イベントマップ※を活用して、配送車両の駐車場所や駐車時間の傾向を分析したところ、配送ルートの最初の店舗に1時間以上前に到着している傾向が見えてきました。これは配送ドライバーが遅延を防ぐために予定より大幅なバッファをもって配送センターを出発しているためで、結果として待機時間が発生してしまっていることになります。
このように、現場の配送業務の実態を見える化することで、より効率的な配送計画を策定するための改善余地を発見することができます。
※駐車イベントマップとは
車両が「どこで/どの程度」、「駐車/滞留しているか」という駐車イベント情報を自動で記録・確認できる機能です。駐車が発生した地点を地図上で確認できるので、車両が滞留しがちな場所を視覚的に把握できます。
4-2.配送計画の効率化を実現する取り組み
K社様は、短期的な目標であった配送状況のリアルタイム把握と連絡工数の削減を実現したことを受けて、長期的な目標である「配送業務の効率化」への取り組みを始めています。現在は、店舗ごとの滞在時間や、配送ルートの平均走行時間や走行距離の集計・分析を行い、配送計画や配送ルートの妥当性を見極める基準数値の策定を進めています。
基準となる数値を設定することで、配送実績や走行データに潜むボトルネックを発見しやすくなります。同社は策定した基準値から現状の配送計画や配送ルートにおける遅延リスクを発見し、そもそも遅延を発生させないルート設計を実現したいと考えています。
Cariotブログでは過去にも店舗への配送効率UPに取り組んだ活用事例をご紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
- 食品・飲料メーカーB社:ドライバー不足対策としての配送ルート効率化の取り組み
- 輸送車両部品商社F社:無駄な滞在時間の削減による輸配送効率化
同社のように配送状況の見える化や配送業務の効率化に取り組みたい方は、下記フォームよりお気軽にお問い合せください。