フィールドサービスの生産性向上を実現するDX
こんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。
業務効率化や生産性向上の実現に向けて、業種を問わず「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が推進されています。しかしながら、経済産業省が2020年12月に公表したレポートでは、DXに取り組んでいる日本企業は全体の約5%であることが明らかになりました。
今回は、DXの推進が遅れた場合に起こりうる問題点や、フィールドサービスの生産性向上を実現するDXの具体的な推進方法・デジタル化のメリットについてお伝えします。
1.フィールドサービスを取り巻く環境
1-1.フィールドサービスの課題と解決法
点検・修理・工事・配送など現場に赴いて作業を行うフィールドサービスの業務において、顧客側の多くが求めるものは「いかに早く対応を行ってくれるか」です。
顧客満足度を上げるためには、依頼を受けてからできるだけ短時間で訪問・対応することが求められます。
依頼に対して迅速に対応することで、企業に対する顧客満足度は高くなりますが、逆に、いつ到着するかわからず作業開始までの待ち時間が長くなると満足度は低下します。
顧客満足度が低下した場合は、別の企業への乗り換えが起こるなど、売り上げにも影響を及ぼす可能性があります。
しかし、ドライバーが訪問先で業務を行なうフィールドサービスでは、管理者側からは現場の業務実態を正確に把握することが難しく、業務内のどこに課題があるか発見しにくいという現状があります。
加えて、取引先への移動が労働時間に占める割合が多いことや、利益を生まない手待ち時間が発生することも多く、結果として残業時間が増えてしまいます。
現在、少子高齢化による労働人口の減少が深刻化する中で、働き方改革関連法の施行により時間外労働の上限が規定されました。2024年からはドライバーの時間外労働にも上限規制が適用されます。
これまでのようにドライバーの長時間労働に頼る働き方ではなく、限られた人員・時間で業務を行うための「業務体系の見直し・改善」が急務となっています。
出典:総務省「平成26年版 情報通信白書」
これらの課題を解決する第一歩として、ドライバー個人の経験やスキルによって変動する移動時間・距離を「平準化」する仕組みづくり、休憩・待機時間の把握などドライバーが「今、何をしているか」を正確に把握・確認できる「動態管理システム」の導入がおすすめです。
1-2.動態データを活用したフィールドサービス業務最適化
「動態管理システム」によってスタッフの活動実績をデータ化することには、多くのメリットがあります。
- サービス車両の稼働状況をリアルタイムで確認できる
- 走行ルートや移動時間、訪問先滞在時間を可視化することができる
- ドライバーの稼働実態を把握することができる
- ドライバーの位置情報や到着予測時間を、顧客と共有することができる
- 日報・月報の自動作成機能で、ドライバー・管理者双方の作業負担を軽減
など
動態管理システム導入によって、ドライバーの業務実態をリアルタイムで把握できるようになり、取得したデータをもとに具体的な改善策が検討・実施できる体制が整います。
また、車両位置をリアルタイムで把握できることで、顧客から到着時間のお問い合わせが入った場合でも、システムから即時に確認できるため、迅速な対応ができるようになります。
さらに、業務に関わるすべての人員がリアルタイムで情報共有ができる仕組みを構築することは、現場のトラブルにいち早く気付くことにつながります。そのため、素早い対応でトラブルを未然に防ぐこともできるのです。
業務効率化を推進するためには、場合によっては部署を横断して業務フローの見直しに取り組む必要があるかもしれません。
そのような場合にも、全社で「動態管理システム」を導入し業務全体を「見える化」することで、業務のブラックボックス化の防止に役立ちます。
2.フィールドサービスの生産性向上を実現するDX
2-1.DXの推進は経営健全化のために必要不可欠
経済産業省が2018年12月に公表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0」では、DXを下記のように定義しています。
(引用元:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver.1.0」)
DXを推進する理由として、経済産業省が2018年9月に公表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」と題したレポート内に記されている「2025年の崖」といわれる問題があります。
画像:経済産業省「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」
このような背景もあり国をあげて推進しているDXですが、経済産業省が2020年12月28日に公表した「DXレポート2(中間取りまとめ)」によると、2020年10月時点で、日本企業の約95%がDXに取り組んでいない、または部分的な取り組みにとどまっていることが明らかになりました。
企業が組織一丸となったDXの取り組みを進め、人材や利益を確保し、企業価値の向上や経営健全化を実現するためには、部署ごとに個別システムを利用し独自のノウハウを構築するのではなく、組織全体が横断型のシステムを導入し、業務のブラックボックス化を防ぐための体制構築が必要不可欠です。
変動の激しい社会環境下においても安定した利益を上げるため、本格的にDXに取り組むべきタイミングが来ているといえるのではないでしょうか。
2-2.DXによるフィールドサービスの課題解決の具体例
フィールドサービスにおいてDXの推進は、どのように行えばよいのでしょうか。
課題を解決するためには、はじめに具体的な課題の特定を行います。その上で、特定した課題に対するアプローチを検討することが大切です。
モビリティ業務最適化クラウド「Cariot」は、車両の走行実績やスタッフの稼働実態といったデータを自動で取得・蓄積します。さらに、Cariotには目的に応じて柔軟なレポートの作成機能があるので、取得したデータから自社が解決すべき課題の特定と解決方法の検討まで対応可能です。
ここからは、フィールドサービスの現場によくある課題と、Cariotの活用で解決に導く具体的な取り組み事例をご紹介します。
<課題1>
問い合わせ対応に忙殺される
<Cariotによる取り組み例>
■車両・スタッフの現在地情報・到着予測時間を把握・共有
これまでは顧客からの到着時間の問い合わせに対して、ドライバーに電話確認を行っていましたが、CariotではPCやタブレット等の画面上でドライバーの位置情報や到着予測時間をリアルタイムでの確認ができるため、顧客からの到着時間の問い合わせに対し即時に対応できるようになります。
・DriveCast
DriveCast機能を活用すれば、Cariotアカウントがない外部の方でも車両の位置情報や到着予測時間が地図上で確認することができます。DriveCastで発行した共有URLを訪問先に提供することで、到着時間確認などの問い合わせ対応の負担を軽減できます。
<課題2>
予定外の訪問依頼への即時対応ができない
<Cariotによる取り組み例>
■地図上で訪問先近くにいるスタッフを確認
地図上で各車両が「今どこにいるか」、「どこに向かっているか」をリアルタイムで把握できる機能を活用して、訪問先の近隣にいる対応可能なスタッフをアサインすることで、予定外の訪問依頼にも迅速に対応できます。
・エリアマップ
Cariotのエリアマップ機能では、各車両が今どこにいるのかを地図上で視覚的に把握することができます。各車両の目的地や到着予想時間も確認できるので、現在稼働している車両の状況を一目で網羅できます。
<課題3>
1日当たりの訪問件数・対応件数を増やしたい
<Cariotによる取り組み例>
■走行データや業務実績を分析し、ボトルネックを探る
Cariotには各車両の走行実績や各訪問先での滞在時間などを自動で記録されます。取得したデータを元に、稼働時間に占める移動時間と作業時間の割合など、あらゆる角度からデータを分析できます。
・走行データ
Cariotは各車両がどのようなルート、順序で取引先を訪問しているのかという走行実績を自動取得しています。取得したデータから、効率的な順序で訪問しているのか、折り返し走行など非効率なルートを走行していないかなどの改善箇所を洗い出すことができます。
・訪問ステータス
Cariotモバイルアプリを活用することで、各スタッフが「どこに訪問したのか」、「訪問先でどんな業務を行ったのか」も記録することができます。
訪問ステータス機能で、スタッフの訪問先での活動実態を正確に把握し、業務の「ムダ・ムラ・ムリ」といったボトルネックを発見できます。
2-3.Cariot導入企業様のDX事例
【車両稼働率UP】カーメンテナンスサービスL社様
非稼働車両の有効活用で売上拡大を実現
業務用車両のカーメンテナンス事業を展開しているL社様は、Cariotを導入し、車両の位置情報・稼働状況を一元化するなど、円滑なサービス運用の実現と、サービスレベル向上のための分析を行なっています。
その結果、効率的な受注体制の構築とスムーズな訪問依頼対応を行う体制を整えることができると判断し、訪問メンテナンスサービスの全国展開を決定しました。
カーメンテナンスサービスL社様の導入事例を読む
https://www.cariot.jp/blog/2021/01/07/minicase_part11/
【訪問効率化】オフィスメンテナンス大手A社様
走行ルート分析で売上最大化のためのヒントを発見
オフィスや家庭向けの各種メンテナンスサービスを展開するA社様は、Cariot導入前は、人手不足でサービス業務・営業活動ともに十分な時間を割けないことに加え、業務が非効率であること、売り上げが減少傾向にあり、危機感を抱いていました。
Cariot導入後は、各営業所や同一営業所内の活動エリアの見直しに加え、顧客訪問効率の最適化、訪問件数・売上最大化を達成するための施策を実施しました。
オフィスメンテナンスA社様の事例を読む
https://www.cariot.jp/blog/2020/05/29/minicase_part1
3.フィールドサービスのDXを推進するCariot
フィールドサービス業務を最適化するためには、業務のデジタル化・データ化を推進し、車両の移動情報やドライバーの訪問先での活動状況など、現場の業務実態がわかるデータを蓄積・分析することが大切です。
複数の課題に対しても、リアルタイムでデータを取得し、業務全体を「見える化」し、それらのデータを元に「これから何をすべきか」を考えることが重要です。
Cariotでは、点検・修理・工事・配送などフィールドサービス業務を行なっている企業・事業所の皆様の課題を解決する機能をご用意しています。
さらなる業務効率化・生産性向上をサポートするCariotの機能を、ぜひご活用ください。
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