医薬品物流の課題〜配送効率化のために抑えるべきポイント〜
リアルタイム情報を活用した急な配送・訪問依頼への対応ノウハウ
予定外の配送・訪問依頼に対応するには、車両やスタッフの現在位置や業務状況を把握する必要があります。リアルタイム位置情報・稼働状況を把握し、急な依頼に即時に対応するためのCariot活用術をご紹介します。
無料でダウンロードこんにちは。Cariot(キャリオット)ブログ編集部です。
医薬品物流では、温度管理や安全性など常温物流とは異なり厳格な品質管理が求められます。加えて、顧客からの急配依頼や頻回配送への対応もしなければなりません。慢性的なドライバー不足が続く中、医薬品物流を行う企業・事業所にとって、品質管理と配送効率化の実現は喫緊の課題です。
今回は、医薬品物流の輸送効率向上などさまざまな課題の解消に向けた「動態管理システム」活用法についてお伝えします。
1.医薬品物流の課題
1-1.医薬品物流とは
医療・医薬品に特化した医薬品物流は、商品の輸送時に高度な物流管理や輸送体制が要求されます。また、医薬品物流の輸送ルートには、大きく分けて2つのルートがあります。
- メーカーから卸へ
- 卸から医療機関へ
医薬品メーカーが製造した医薬品を卸業者が指定する保管倉庫へ運びます。運ばれた医薬品は倉庫内で適切な温度管理を行い、医療機関から発注があるまで保管されます。
医薬品卸業者が発注を元に、医療機関への輸送・ピッキング・梱包などを行い発送・配送します。発注者の元へ届けるまでの間、セキュリティ管理や厳格な温度管理など、医薬品の安全と品質を維持することが求められます。
いずれのルートにおいても、厚生労働省が2018年に通達した「GDP(医薬品の適正流通基準/Good Distribution Practice)」に従い、医薬品の製造から輸送・保管、医療機関等に届けるまでの全工程で厳格な温度管理・品質管理等の実施が求められています。また、倉庫で保管・梱包・加工する場合も「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」などに基づいた品質管理を行わなければなりません。
医薬品物流各社は上記を踏まえ、GDPの将来的な義務化を見据えた対応を進めています。
- 医薬品の安全性と品質管理
- 流通過程での管理
- 医薬品の偽造や盗難への対策
1-2.GDPガイドライン対応の課題
GDPガイドラインの順守は、製薬会社だけでなく、人手不足や2024年問題への対応もしなければならない物流企業や運送事業者にも影響を及ぼします。
- 月初・大型連休前や薬価改訂時に物流量が増加する傾向がある
- 繁忙期は温度管理車両が不足しがちになる
- 繁忙期においても医薬品の品質・セキュリティ面の管理ができる輸送の実現
- 商慣習による急配依頼や多頻度配送の多さ
- 物流業界で深刻化するドライバー不足
- 働き方改革関連法の施行に伴う「2024年問題」
- 災害時などでも安定した医薬品輸送を行うためのサプライチェーンの構築
など
画像:厚生労働省「輸送における様々な課題と事例紹介(温度管理・セキュリティ等)」
医薬品物流は急配依頼や頻回配送が多いことが指摘されています。少ない人員で効率よく輸送を行うためには、配送業務の効率化・生産性を向上させなければなりません。
輸送時に医薬品の品質・安全管理を実施しながら働き方改革を前進させるためには、リアルタイムで現場の状況が把握できる「動態管理システム」を活用した業務の合理化・自動化が効果的です。
しかし、これからデジタル化を進めたい、デジタル化をしたいがどこから手をつければよいかわからないこともあります。そのような場合は、日報作成など日頃から手間がかかっている業務から段階的にデジタル化による業務の自動化を進め、徐々に範囲を広げていくという方法がおすすめです。少しの手間を省くことで、月間・年間に換算すると作業工数が大幅に削減できる可能性があります。
2.医薬品物流の課題をサポートするCariotの機能
クルマと企業をつなぐドライバー働き方改革クラウドCariotは、医薬品物流の課題解消をサポートする多くの機能を備えています。リアルタイムで取得するデータは、自社の業務効率化だけでなく顧客との交渉の際にも活用できます。この機会にぜひ、導入をご検討ください。
2-1.製薬メーカー・卸から各営業拠点や病院・薬局・医療機関への配送
・DriveView
車両に関する情報をひとつの画面に集約し表示する機能です。 DriveViewには、下記の情報が集約されます。
- 車両の現在地・目的地への到着時間
- 停車場所での待機時間の確認
- 長時間停車などが発生していないかの確認
- 急配や駆け付け依頼にすぐに対応可能な車両・スタッフの確認
- 顧客名の検索
- 目的地に向かう予定がある車両、周辺の車両が今・どこにいるかが確認できる
・DriveCast
DriveCastで発行するURLを関係者に送信することで、車両の位置情報や到着予想時刻が共有できる機能です。本機能をご利用いただくことで、電話での問い合わせ対応件数や、顧客・ドライバーへの電話連絡の回数が削減できます。
・配送管理/荷量管理機能
車両ごとの積荷の種類・積載量が確認できる機能です。「荷量管理」機能では、どの車両が・どのような荷物を・どの程度の量を積載して輸送しているかが把握できます。また、輸送の途中で他の車両への荷物の積み替えが発生しても追跡できます。
<配送管理の画面>
<荷量管理の画面>
・業務ステータス(Cariotモバイルアプリ限定機能)
ドライバーやスタッフが「今、何をしているのか」という現在のステータスを登録する機能です。
どこで・誰が・どのような業務を行っているかの詳細が把握できます。本機能をご利用いただくことで、急な配送依頼の際に誰をアサインするかの判断がしやすくなります。
業務ステータスで取得した情報は「DriveCast」にも反映されますので、手間をかけずに正確な情報の登録・記録ができます。
2-2.日々の業務負担を軽減
・レポート
車両ごと・ドライバーごとのリアルタイムデータを集約し、グラフィカルなレイアウトで視覚的・直感的に把握できる機能です。確認したい項目だけを表示することもできます。
各車両の走行距離・消費燃料などを確認し、ボトルネックの発見や改善施策の立案などにご活用ください。
・日報
Cariotで取得したデータをもとに日報の作成を自動化できる機能です。従来は手書きで行っていた日報の記入・用紙の回収・集計といった日々の作業にかかっていた手間や負担が軽減できます。
・「アルコールチェック結果管理」機能
安全運転管理者・副安全管理者や、安全運転管理業務を補助する立場の方が、ドライバーの酒気帯びの有無を確認した結果を手動で入力・保存できる機能です。Cariotのドライバーライセンスをご契約いただくと、ドライバーがお持ちのスマートフォンから結果の入力が可能になります。
入力した情報はCariot上でいつでも確認することができます。また、記録は1年間保存されます。
本機能をご利用いただくことで、書類作成・集計等の手間を削減し、作業効率向上や人為的なミスの削減などのメリットを得ることができます。
・「アルコール検知器メンテナンス管理」機能
あらかじめCariot上にアルコール検知器のメンテナンス情報を登録しておくことで、アルコール検知器が正常に作動しているか、故障がない状態が維持されているかが確認できる機能です。機器のメンテナンスに関する記録は週次・年次で確認することができます。
また、事前にアラート設定をすることで、検知器のメンテナンスがされていない場合は、管理者にメンテナンスを促す通知を送信します。
・開発検討中の機能「アルコール検知器との連携を含むリモート点呼サービス連携」機能
既存のアルコール検知器を含むリモート点呼サービスと連携することで、遠隔型・対面拠点型のどちらにも対応しながら、アルコールチェックの結果をCariot上の情報と結びつけて確認・管理することを想定した機能の開発を検討しています。
なお、本機能は計画段階のため変更される可能性があります。ご了承ください。
2-3.輸送の安全をサポート
・「危険運転検知」機能
システムが自動で危険運転(速度超過・急発進・急ブレーキ・急ハンドル)を検知し、管理者へメールで通知を送信する機能です。走行中にどのドライバーが・どこで危険運転を行ったかが把握できます。
本機能で取得したデータと「レポート機能」を組み合わせることで、危険運転が多いドライバーの抽出ができますので、特定のドライバーに対しデータを元にした安全運転指導に役立てることができます。
・速度マップ
急加速・急ブレーキ・速度超過などを検知し管理者に通知する機能です。マップ上でドライバーがどこで・どの程度の速度で走行していたかなど、現場の状況を画面上で把握できます。
3.医薬品物流の輸送効率向上のポイント
医薬品物流の配送効率化を実現するためには、輸送効率の向上を阻む要因の特定・改善を行う必要があります。そのためには、ボトルネックを特定する必要があります。動態管理システムを活用すれば、見えにくかった現場の状況が正確に把握でき、おのずと改善すべきポイントが明確になり、効果的な改善案の作成に着手できます。
改善を実施した後は、効果を測定しさらなる改善案の作成・実施を繰り返すことで輸送効率が向上します。
- 休日をまたぐ配送の見直し
- 臨時運行便の見直し
- リードタイム延長
- GDPに対応した上で共同配送やモーダルシフトの活用
- 「ホワイト物流推進運動」の推進
- デジタルツールを活用した配送効率向上
など
ボトルネックの特定は、物流各社が取り組んでいる「2024年問題」の解決にも寄与します。輸送の安定化に向けた対策の皮切りとして、配送効率化の実現をサポートする「動態管理システム」の導入と活用をご検討ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもCariotは、より便利に使っていただくための機能の開発を進めてまいります。
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